今回は、2事業で売上割合が75%以上ある場合の簡易課税制度の特例のうち、第5種事業がある場合を確認してみましょう。
仕入率の特例
簡易課税制度を選択すると、マイナスできる消費税を
・各事業の受け取った消費税×各事業の仕入率
により計算できます。
事業ごとに仕入率は決まっており、原則として加重平均で計算します。
原則の他に特例が2つあります。
1、1事業の売上割合が75%以上の場合
2、2事業の売上割合が75%以上の場合
今回は、2の特例を確認してみましょう。
(2の特例は5つあります。)
第5種事業がある場合
2事業の売上割合が75%以上の場合に特例の割合が選択できます。
この2事業の組み合わせが
・第5種事業(例、サービス業)
・第6種事業(例、不動産業)
の場合を確認してみましょう。
特例の割合を選択する場合は、仕入率を計算する必要があります。
仕入率の計算は、
・分子 次の1と2を合計した消費税
・分母 受け取った消費税の合計
で計算します。
1、第5種事業の消費税×50%(前項第5号の金額)
2、第5種事業以外の事業が
第6種事業の場合は、(合計消費税-第5種事業の消費税)×40%
第5種事業の消費税はそのまま計算して、
第5種事業以外の消費税は、
第6種事業の仕入率で計算するという意味です。
計算例
数字を使って確認してみましょう。
各事業の売上
・第3種事業 1,000
・第5種事業 6,000
・第6種事業 3,000
・合計 10,000
各事業の受け取った消費税
(10%で計算しています。)
・第3種事業 100
・第5種事業 600
・第6種事業 300
・合計 1,000
2つ以上の事業(特定2事業)の売上割合が
75%以上かどうかを判定してみましょう。
・第5種事業の売上 6,000
・第6種事業の売上 3,000
分子、特定2事業の売上合計 6,000+3,000=9,000
分母、売上の合計 10,000
9,000÷10,000=90%≧75%となるため、要件を満たします。
次は、仕入率の計算を計算してみましょう。
分子の金額
1、第5種事業の消費税 600×50%=300
2、第5種事業以外の事業が第6種事業の場合は、
(合計消費税1,000-第5種事業の消費税600=400)×40%=160
3、1+2=460
分母の金額
消費税の合計 1,000
仕入率
460÷1,000=46%
消費税の合計1,000×仕入率46%=
マイナスできる消費税は、460となります。
75%以上の特例を使用しない場合
75%以上の特例を使用しない場合を計算してみましょう。
各事業の消費税
・第3種事業 100×70%=70
・第5種事業 600×50%=300
・第6種事業 300×40%=120
合計しますと、70+300+120=490となります。
マイナスできる消費税
・特例を使用しない場合 490
・特例を使用する場合 460
となり、特例を使用した方が納付する消費税は増えます。
特例の仕入率を使用した場合、第3種事業の消費税についても
第6種事業の仕入率の40%で計算するからです。
検証してみましょう。
仕入率の差 第3種の仕入率70%-第6種の仕入率40%=30%
計算対象となる第3種事業の消費税 100
100×30%=30は、490(特例なし)-460(特例あり)=30と一致します。
参考規定
2事業で売上割合が75%以上ある場合の簡易課税制度の特例
第5種事業がある場合
二 当該事業者の当該課税期間における課税売上高のうちに当該課税期間中に国内において行つた特定二事業(第一項各号に掲げる事業又は第四種事業のうち二の事業をいう。)に係る課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該課税期間中に行つた当該特定二事業に係る売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額の占める割合が百分の七十五以上である場合 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める割合
消費税法施行令第57条第3項第2号ホ、施行日令和6年10月1日
イ 省略
ロ 省略
ハ 省略
ニ 省略
ホ 当該特定二事業が第五種事業と第六種事業とである場合 売上げに係る消費税額のうちに次に掲げる金額の合計額の占める割合
(1) 前項第五号に掲げる金額
(2) 売上げに係る消費税額から第五種事業に係る消費税額を控除した金額に百分の四十を乗じて計算した金額
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