今回は、2以上の道府県に事務所等を有する場合の
道府県民税の外国法人税を確認してみましょう。
2以上の道府県に事務所等を有する場合
2以上の道府県に事務所等を有する場合、
法人税割から控除する外国の法人税等の額は、
関係道府県ごとの従業者の数で按分する必要があります。
例えば、次の場合で計算してみましょう。
・外国の法人税等の額 30,000円
従業者数
・A県 4人
・B県 3人
・C県 2人
・D県 1人
・合計 10人
A県の外国の法人税等の額は、
30,000円×A県4人÷合計10人=12,000円
となります。
事務所等 | 従業者数 | 外国の法人税等の額 |
---|---|---|
A県 | 4人 | 12,000円 |
B県 | 3人 | 9,000円 |
C県 | 2人 | 6,000円 |
D県 | 1人 | 3,000円 |
合計 | 10人 | 30,000円 |
超過税率を選択した場合
超過税率を選択した場合、従業者数を補正します。
算式
補正後の従業者数=
補正前の従業者数×関係道府県の法人税割の税率に相当する割合
(超過税率など)÷1%
計算例
事務所等 | 補正前の 従業者数 | ×法人税割の税率÷1% | 補正後の 従業者数 |
---|---|---|---|
A県 | 4人 | 2.0%÷1.0% | 8人 |
B県 | 3人 | 1.5%÷1.0% | 4.5人→4人 |
C県 | 2人 | 1.2%÷1.0% | 2.4人→2人 |
D県 | 1人 | 1.0%÷1.0% | 1人 |
合計 | 10人 | - | 15人 |
外国の法人税等の額を
補正後の従業者数で按分します。
A県の外国の法人税等の額は、
30,000円×8人÷15人=16,000円
となります。
事務所等 | 補正後の従業者数 | 外国の法人税等の額 |
---|---|---|
A県 | 8人 | 16,000円 |
B県 | 4人 | 8,000円 |
C県 | 2人 | 4,000円 |
D県 | 1人 | 2,000円 |
合計 | 15人 | 30,000円 |
まとめ
内容 | 地方税法施行令 第9条の7第6項 控除限度額 | 地方税法施行令 第9条の7第28項 外国の法人税等の額 |
---|---|---|
原則 | 法人税の 控除限度額×1% | - |
ただし書き | 法人税の 控除限度額 ×超過税率(標準税率) | - |
2以上ある場合 | 法人税の控除限度額を従業者数で按分し、超過税率(標準税率)をかけて合計 | ・外国の法人税等の額を従業者数で按分 ・控除限度額の計算について超過税率を選択した場合は、補正後の従者数で按分 |
参考規定
2以上の道府県に事務所等を有する場合の外国の法人税等の額
28 二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人の法第五十三条第三十八項の規定により関係道府県ごとの法人税割額から控除すべき外国の法人税等の額は、当該法人に係る同項の規定により控除することができる外国の法人税等の額を当該法人の当該控除をしようとする事業年度に係る関係道府県ごとの法第五十七条第二項に規定する従業者の数(当該事業年度の道府県民税の控除限度額の計算について第六項ただし書の規定による法人にあつては、当該従業者の数に当該関係道府県が課する当該事業年度分の法人税割の税率に相当する割合として総務省令で定める割合を乗じて得た数を百分の一で除して得た数)に按分して計算した額とする。
地方税法施行令第9条の7第28項、施行日令和5年9月6日
規定をまとめたもの
2以上の道府県において
事務所又は事業所を有する法人の
地方税法第53条第38項の規定により
関係道府県ごとの法人税割額から
控除すべき外国の法人税等の額は、
その法人に係る同項(第38項)の規定により
控除することができる外国の法人税等の額を
その法人のその控除をしようとする事業年度に係る
関係道府県ごとの地方税法第57条第2項に規定する
従業者の数(注1)に按分して計算した額とする。
注1、従業者の数(従業者数の補正)
その事業年度の道府県民税の控除限度額の計算について
第6項ただし書の規定による法人にあつては、
その従業者の数にその関係道府県が課する
その事業年度分の法人税割の税率に相当する割合として
総務省令で定める割合を乗じて得た数を100分の1で除して得た数
道府県民税の控除限度額の計算
6 法第五十三条第三十八項に規定する政令で定めるところにより計算した額は、法人税法第六十九条第一項に規定する控除限度額又は同法第百四十四条の二第一項に規定する控除限度額(以下この項及び第四十八条の十三第七項において「法人税の控除限度額」という。)に百分の一を乗じて計算した額とする。ただし、標準税率を超える税率で法人税割を課する道府県に事務所又は事業所を有する法人にあつては、当該法人の選択により、法人税の控除限度額に当該税率に相当する割合を乗じて計算した額(当該法人が二以上の道府県において事務所又は事業所を有する場合には、法人税の控除限度額を当該法人の関係道府県ごとの法第五十七条第二項に規定する従業者の数に按分して計算した額に当該関係道府県が課する法人税割の税率に相当する割合として総務省令で定める割合を乗じて計算した額の合計額)とすることができる。
地方税法施行令第9条の7第6項、施行日令和5年9月6日
規定をまとめたもの
(原則)
地方税法第53条第38項に規定する
政令で定めるところにより計算した額は、
・法人税法第69条第1項に規定する控除限度額又は
・法人税法第144条の2第1項に規定する控除限度額
(=法人税の控除限度額)に
1%を乗じて計算した額とします。
(例外)
ただし、標準税率を超える税率で法人税割を課する道府県に
事務所又は事業所を有する法人にあっては、その法人の選択により、
法人税の控除限度額に
その税率に相当する割合を乗じて計算した額(注1)
とすることができます。
注1、その法人が2以上の道府県において
事務所又は事業所を有する場合には、
法人税の控除限度額をその法人の関係道府県ごとの
法第57条第2項に規定する従業者の数に按分して計算した額に
その関係道府県が課する法人税割の税率に相当する割合として
総務省令で定める割合を乗じて計算した額の合計額
地方税法施行令第9条の7第6項は、
道府県民税の控除限度額の計算規定です。
原則
控除限度額=法人税の控除限度額×1%
ただし書き
控除限度額=法人税の控除限度額×超過税率
カッコ書き
1、2以上の道府県に事務所等がある場合、
法人税の控除限度額を
関係道府県ごとの従業者数で按分します。
2、按分後の金額に
関係道府県の法人税割の税率に相当する割合(超過税率など)を
乗じて計算した額を求めます。
3、2の額を合計します。
(政令第九条の六の二第一項の割合等)
地方税法施行規則、施行日令和5年8月13日
第三条の二 政令第九条の六の二第一項、第九条の六の三第一項、第九条の七第六項及び第二十八項並びに第九条の七の二第二項(同条第三項において準用する場合を含む。第一号イ及び第二号において同じ。)に規定する総務省令で定める割合は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、当該各号に定める割合とする。
一 次号に掲げる法人以外の法人 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める割合
イ 政令第九条の六の二第一項、第九条の六の三第一項、第九条の七第六項及び第二十八項並びに第九条の七の二第二項の関係道府県に係る場合(ロに該当する場合を除く。) 当該関係道府県が課する道府県民税の法人税割の税率に相当する割合
ロ 特別区の存する区域において都民税の法人税割を課する都に係る場合 特別区の存する区域以外の区域において当該都が課する都民税の法人税割の税率に相当する割合
二 二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人で特別区の存する区域において事務所又は事業所を有しないもの 政令第九条の六の二第一項、第九条の六の三第一項、第九条の七第六項及び第二十八項並びに第九条の七の二第二項の関係道府県が課する道府県民税の法人税割の税率に相当する割合