2割特例の特別控除税額と要件


今回は、改正予定の2割特例の特別控除税額と確定申告書の付記を確認します。
2割特例の計算の結論は、純額の売上消費税×80%です。

特別控除税額の計算方法

特別控除税額=
課税売上げ(免税売上除く)の消費税-売上返品などの消費税=残額×80%
貸倒控除は含まれていません。

参考法案

2 前項に規定する特別控除税額とは、当該適格請求書発行事業者の当該課税期間の課税資産の譲渡等(消費税法第七条第一項若しくは第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)に係る課税標準である金額の合計額に対する消費税額から当該課税期間における新消費税法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額の百分の八十に相当する金額をいう。

所得税法等の一部を改正する法律の一部改正、51条の2

例えば、売上消費税10,000円、売上返還消費税1,000円、
貸倒消費税100円の場合、次のような計算になるのでしょうね。

1、売上消費税
 10,000円
2、2割特例(特別控除税額)
 10,000円-1,000円(消費税法38条)=9,000円×80%=7,200円
3、売上返還(消費税法38条)
 1,000円
4、貸倒消費税
 100円
5、納付する消費税
 1ー2ー3-4=1,700円

売上返還の留意点

細かい内容ですが、売上返還については、
免税時点の課税売上げの返還については、売上返還控除が適用できません。

例えば、免税事業者が10月1日に課税事業者となる場合で、9月の売上に対して10月に売上返還が生じたときは、売上返還が適用できません。

9月まで免税事業者10月以後、課税事業者
売掛金11,000円 / 売上11,000円預金10,340円 / 売掛金11,000円
手数料660円 /
仕訳

実務上、手数料を課税仕入れとして処理することが多いと考えますが、売上返還として処理する場合であっても、上記のように前期が免税事業者の場合は、売上返還が使えないため注意が必要です。

2割特例の使用要件

2割特例を使用するインボイス発行事業者は、
確定申告書に2割特例を使用する旨を付記します。
確定申告書には期限後申告書を含みます。
仮決算の場合は対象外なのでしょう。

参考法案

3 第一項の規定の適用を受けようとする適格請求書発行事業者は、新消費税法第四十五条第一項の規定による申告書(当該申告書に係る国税通則法第十八条第二項に規定する期限後申告書を含む。)にその旨を付記するものとする。

所得税法等の一部を改正する法律の一部改正、51条の2
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