個人事業者の消費税の納税地


今回は、個人事業者の消費税の納税地に関する規定を見てみましょう。

個人事業者の納税地

個人事業者の納税地(基準となる場所)は、4つの区分に応じて変わります。

1、国内に住所がある場合
 住所地

2、国内に住所がない場合で、居所がある場合
 居所地

3、国内に住所も居所もない場合で、国内に事務所等がある場合
 事務所等の所在地(複数ある場合は、メインの事務所等の所在地)

4、国内に住所も居所も事務所等もない場合
 政令(消費税法施行令)で定める場所

参考規定、消費税法第20条、令和7年10月1日施行

納税地とされていた場所

政令で定める場所は、5つあります。

1つ目を見てみましょう。

(特殊な場合の個人事業者の納税地)
第四十二条 法第二十条第四号に規定する政令で定める場所は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める場所とする。
一 法第二十条第一号又は第二号の規定により納税地を定められていた個人事業者が国内に住所及び居所を有しないこととなつた場合において、当該個人事業者がその有しないこととなつた時に国内に同条第三号に規定する事務所等を有せず、かつ、その納税地とされていた場所に当該個人事業者の親族その他当該個人事業者の特殊関係者が引き続き、又は当該個人事業者に代わつて居住しているとき。 その納税地とされていた場所

消費税法施行令第42条第1項第1号、令和7年10月1日施行

消費税法第20条
1、第1号、住所地
2、第2号、居所地
の規定により納税地を定められていた個人事業者が対象者です。

その個人事業者が国内(日本)に
1、住所
2、居所
がなくなった場合が1つ目の要件です。

例えば、海外に引っ越しした場合です。

その個人事業者が国内に
同条(第20条)第3号の事務所等がなく、

その納税地とされていた場所(住所地や居所地)に
その個人事業者の親族や特殊関係者が引き続き居住しているとき
が2つ目の要件です。

その個人事業者に代わって居住しているときも含まれます。

この場合は、納税地とされていた場所(住所地や居所地)が
消費税の納税地となります。

資産の所在地

2つ目を見てみましょう。

二 前号に掲げる場合を除き、所得税法第百六十一条第一項第七号(国内源泉所得)に掲げる対価(船舶又は航空機の貸付けによるものを除く。)を受ける場合 当該対価に係る資産の所在地(その資産が二以上ある場合には、主たる資産の所在地)

消費税法施行令第42条第1項第2号、令和7年10月1日施行

前号(第1号)に掲げる場合を除き、とあるため、
第1号に該当しないことが前提です。

所得税法第161条第1項第7号に掲げる対価とあるため、見てみましょう。

七 国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利若しくは採石法(昭和二十五年法律第二百九十一号)の規定による採石権の貸付け(地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、鉱業法(昭和二十五年法律第二百八十九号)の規定による租鉱権の設定又は居住者若しくは内国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価

A
1、国内にある不動産
2、国内にある不動産の上に存する権利
3、採石法の採石権
の貸付け

B
鉱業法の租鉱権の設定

C
1、居住者
2、内国法人
に対する船舶や航空機の貸付け

による対価です。

カッコ書きにより、上記の対価から船舶と航空機の貸付けによる対価が除外されます。AとBが残ります。

この場合は、資産の所在地が納税地となります。
(資産が複数ある場合は、メインの資産の所在地)

納税地がなくなった場合

3つ目を見てみましょう。

三 法第二十条第一号から第三号まで及び前二号の規定により納税地を定められていた個人事業者がこれらの規定のいずれにも該当しないこととなつた場合(同条第二号の規定により納税地を定められていた個人事業者については、同号の居所が短期間の滞在地であつた場合を除く。) その該当しないこととなつた時の直前において納税地であつた場所

消費税法施行令第42条第1項第3号、令和7年10月1日施行

消費税法第20条
第1号、住所地
第2号、居所地
第3号、事務所等の所在地

前号(第1号と第2号)
第1号、納税地とされていた場所
第2号、資産の所在地

の規定により、納税地があった個人事業者の納税地がなくなった場合は、納税地がなくなる直前において納税地であった場所が納税地となります。

カッコ書きにより、
同条(消費税法第20条)第2号(居所地)の規定により
納税地があった個人事業者については、
同号(第2号)の居所が短期間の滞在地であった場合
が除外されています。

国と取引する場合

4つ目を見てみましょう。

四 前三号に掲げる場合を除き、個人事業者が国に対し資産の譲渡等及び特定仕入れ(法第四条第一項に規定する特定仕入れをいう。次条第三号において同じ。)に係る消費税に関する法律の規定に基づく申告、届出その他の行為をする場合 当該個人事業者が選択した場所(これらの行為が二以上ある場合には、最初にその行為をした際選択した場所)

消費税法施行令第42条第1項第4号、令和7年10月1日施行

前3号に掲げる場合を除き、とあるため、
第1号、第2号、第3号に該当しないことが前提です。

個人事業者が国に対し
1、資産の譲渡等(資産の販売、資産の貸付け、サービス提供)
2、特定仕入れ(消費税がかかる仕入れ)
に係る消費税の申告などをする場合は、その個人事業者が選択した場所が納税地となります。

取引先が国に限定されているため、
地方公共団体や一般の法人については、対象外となります。

いずれにも該当しない場合

5つ目を見てみましょう。

五 前各号に掲げる場合以外の場合 麹町税務署の管轄区域内の場所

消費税法施行令第42条第1項第5号、令和7年10月1日施行

前各号に掲げる場合とあるため、
第1号から第4号までに該当しないことが前提です。

この場合は、麹町(こうじまち)税務署の管轄区域内の場所が消費税の納税地となります。

管轄区域は、千代田区のうち麹町地区です。


参考情報、特殊関係者の定義

1つ目の規定にある特殊関係者は、消費税法施行令第42条第2項に規定されています。

2 前項第一号に規定する特殊関係者とは、次に掲げる者及びこれらの者であつた者をいう。
一 個人事業者とまだ婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
二 個人事業者の使用人
三 前二号に掲げる者及び個人事業者の親族以外の者で当該個人事業者から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持しているもの

消費税法施行令第42条第2項、令和7年10月1日施行

1、個人事業者と事実上の婚姻関係と同様の事情にある人
2、個人事業者の使用人
3、個人事業者からお金などをもらって生活している人(親族などを除く。)

「これらの者であった者」とありますので、
上記1から3までの関係にあった人も、特殊関係者となります。


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