信託財産の消費税の取扱い


今回は、信託財産の消費税の取扱いを確認してみましょう。

内容

信託では、次の3人が登場します。
・委託者(信託をする人)
・受託者(信託の義務を負う人)
・受益者(受益権を有する人)

信託された財産を信託財産といいます。
信託財産は受託者に属しますが
消費税法では3つ特例が設けられています。

1つ目
信託の受益者が信託財産を有するものとみなして
消費税法を適用する必要があります。

2つ目
信託財産に関する資産等取引は受益者の資産等取引とみなして
消費税法を適用する必要があります。

資産等取引とは、次の3つをいいます。
・資産の譲渡等
・課税仕入れ
・課税貨物の保税地域からの引取り

3つ目は例外です。
次の4つの信託については、
受益者の資産や資産等取引として取り扱う必要がありません。

・集団投資信託
・法人課税信託
・退職年金等信託
・特定公益信託等
(それぞれの信託の内容については省略)

みなし受益者

次の3つの要件を満たす人については、
受益者とみなして消費税法を適用する必要があります。

・信託の変更をする権限がある。
・信託財産の給付を受けることとされている。
・受益者でない。

「信託の目的に反しないことが明らかである場合に限り
信託の変更をすることができる権限」は、
軽微な変更権限として、みなし受益者の要件から除外されます。

信託の変更権限については、
「他の者との合意により信託の変更をすることができる権限」が
含まれます。

参考規定

信託財産に係る資産の譲渡等の帰属

第十四条 信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引(資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、法人税法第二条第二十九号(定義)に規定する集団投資信託、同条第二十九号の二に規定する法人課税信託又は同法第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託若しくは同項第二号に規定する特定公益信託等の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、この限りでない。

消費税法第14条第1項、施行日令和5年11月29日

信託の受益者(注1)は当該信託の信託財産に属する資産を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に係る資産等取引(注2)は当該受益者の資産等取引とみなして、この法律の規定を適用する。

注1、受益者としての権利を現に有するものに限る。
注2、資産の譲渡等、課税仕入れ及び課税貨物の保税地域からの引取りをいう。以下この項及び次条第1項において同じ。

ただし、
・法人税法第2条第29号(定義)に規定する集団投資信託、
・同条第29号の2に規定する法人課税信託又は
・同法第12条第4項第1号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託若しくは同項第2号に規定する特定公益信託等
の信託財産に属する資産及び当該信託財産に係る資産等取引については、
この限りでない。

みなし受益者

2 信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)は、前項に規定する受益者とみなして、同項の規定を適用する。

消費税法第14条第2項、施行日令和5年11月29日

消費税法施行令

(信託財産に係る資産の譲渡等の帰属)
第二十六条 法第十四条第二項に規定する政令で定める権限は、信託の目的に反しないことが明らかである場合に限り信託の変更をすることができる権限とする。
2 法第十四条第二項に規定する信託の変更をする権限には、他の者との合意により信託の変更をすることができる権限を含むものとする。
3 停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者は、法第十四条第二項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するものとする。
4 法第十四条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下この項において同じ。)が二以上ある場合における同条第一項の規定の適用については、同項の信託の信託財産に属する資産の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて有するものとし、当該信託財産に係る同項に規定する資産等取引の全部をそれぞれの受益者がその有する権利の内容に応じて行つたものとする。

消費税法施行令第26条、施行日令和6年1月1日

信託法、信託の定義

(定義)
第二条 この法律において「信託」とは、次条各号に掲げる方法のいずれかにより、特定の者が一定の目的(専らその者の利益を図る目的を除く。同条において同じ。)に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきものとすることをいう。

信託法第2条、施行日令和5年6月14日

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