国、地方公共団体等の帳簿の記載事項の特例


今回は、国・地方公共団体等の帳簿の記載事項を確認してみましょう。

帳簿の記録と保存

課税事業者や特例輸入者については、
一定の事項を記載した帳簿を保存する必要があります。
(支払った消費税をマイナスする要件となる帳簿とは別のものです。)

参考規定はこちら↓

(帳簿の備付け等)
第五十八条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)又は特例輸入者は、政令で定めるところにより、帳簿を備え付けてこれにその行つた資産の譲渡等又は課税仕入れ若しくは課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。第六十条において同じ。)の保税地域からの引取りに関する事項を記録し、かつ、当該帳簿を保存しなければならない。

消費税法第58条、施行日令和6年4月9日
国・地方公共団体等の特例

国や地方公共団体等については、
支払った消費税の調整計算の特例があるため、
帳簿に記載する項目が追加されます。

規定を確認してみましょう。

(国、地方公共団体等の帳簿の記載事項の特例)
第七十七条 法第六十条第四項に規定する国若しくは地方公共団体、法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等の法第五十八条の規定の適用については、同条の帳簿には、同条に規定する事項のほか、同項に規定する特定収入及び第七十五条第一項各号に掲げる収入に関する財務省令で定める事項を併せて記録しなければならない。

消費税法施行令第77条、施行日令和6年4月1日

特例の対象者は、課税事業者で
消費税法第60条第4項に規定する
・国(特別会計に限定)
・地方公共団体(特別会計に限定)
・消費税法別表第3に掲げる法人(別表第3法人)
・人格のない社団等
の4つです。

帳簿に記載する事項は、次の2つです。
・特定収入(調整計算に必要な収入)
・特定収入以外の収入

記載事項の特例

支払った消費税を計算するために必要な「特定収入」と
計算に使用しない「特定収入に該当しない収入」を合わせて
「特定収入等」といいます。

特定収入等に関して帳簿に記載する事項は、次の4つです。
・相手方の氏名・名称(誰から)
・内容(何で)
・金額(いくら)
・使途(使いみち)

特定収入だけではなく、
特定収入に該当しない収入についても帳簿に記載する必要があります。
特定収入か非特定収入かを区別するためです。

特定収入の相手方が
・不特定かつ多数
の場合は、相手方の氏名や名称の記録が省略できます。
不特定多数の場合、収入毎の確認が難しいからです。

参考規定

国、地方公共団体等の特定収入等に関する帳簿の記載事項

第三十一条 令第七十七条に規定する財務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第六十条第四項に規定する特定収入又は令第七十五条第一項各号に掲げる収入(以下この条において「特定収入等」という。)に係る相手方の氏名又は名称
二 特定収入等を受けた年月日
三 特定収入等の内容
四 特定収入等の金額
五 特定収入等の使途

消費税法施行規則第31条第1項、施行日令和6年7月1日

不特定多数の場合は、氏名等の省略が可能

2 法第六十条第四項に規定する国若しくは地方公共団体、法別表第三に掲げる法人又は人格のない社団等が特定収入等を受けた場合において、当該特定収入等に係る相手方が不特定かつ多数であるときは、前項第一号に掲げる事項については、同項の規定にかかわらず、その記録を省略することができる。

消費税法施行規則第31条第2項、施行日令和6年7月1日
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