比較する月数が異なる場合の比較雇用者給与等支給額の計算


今回は、比較する月数が異なる場合の比較雇用者給与等支給額の計算を確認してみましょう。

比較月数が同じ場合

比較雇用者給与等支給額は、賃上げ促進税制の計算で使用します。

比較雇用者給与等支給額の計算方法は、次の3つです。
1、前期の月数=当期の月数
2、前期の月数>当期の月数
3、前期の月数<当期の月数

規定を確認してみましょう。

十一 比較雇用者給与等支給額 法人の前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額(前事業年度の月数と適用年度の月数とが異なる場合には、その月数に応じ政令で定めるところにより計算した金額)をいう。

租税特別措置法第42条の12の5第5項第11号、施行日令和6年9月2日

カッコ書きで「前事業年度の月数と適用年度の月数とが異なる場合」が規定されています。それぞれの月数が同じ場合(比較月数が同じ場合)は調整計算がありません。

月数が異なる場合を確認してみましょう。

前期の月数>当期の月数の場合

前期の月数が当期の月数を超える場合(前期の方が長い)は、前期の給与を当期の月数に合わせて調整する必要があります。

例えば、次の場合
・前期の事業年度の月数 12月
・前期の事業年度の給与 1200万円
・当期の事業年度の月数 8月

比較雇用者給与等支給額は、1200万円(前期給与)×8月(当期月数)÷12月(前期月数)=800万円となります。

前期の月数<当期の月数の場合(前期<6月)

前期の月数が当期の月数に満たない場合(前期の方が短い)は、計算方法が次の2つに分かれます。
イ、前期が6月未満の場合
ロ、前期が6月以上の場合

前期が6月未満の場合は、前期が短いため、前期以前の給与も計算に使用します。

どこまで遡って集計するのかといいますと、
「前1年事業年度」まで遡ります。

前1年事業年度は、適用年度(当期)の開始日前1年以内に終了した各事業年度をいいます。

例えば、次の場合で確認してみましょう。
・前々事業年度 X-1年2/1~X-1年12/31、11月
・前々事業年度の給与 1100万円
・前事業年度 X年1/1~X年3/31、3月
・前事業年度の給与 300万円
・当期 X年4月1日~X+1年3/31、12月

適用年度の開始日はX年4/1です。
前1年以内に終了した各事業年度は、次の2つとなります。
・前々事業年度
・前事業年度

前々事業年度と前事業年度を合わせた期間が前1年事業年度となります。

前1年事業年度の給与を合計しますと、
1100万円(前々期給与)+300万円(前期給与)=1400万円となります。

比較雇用者給与等支給額は、1400万円(前1年事業年度の給与)×12月(当期月数)÷14月(前1年事業年度の月数)=1200万円となります。

当期の月数が1年未満の場合は、当期の月数に合わせて前1年事業年度を計算します。例えば、当期の月数が8月の場合は、1年以内ではなく8月以内に終了した各事業年度を計算します。

前期の月数<当期の月数の場合(前期≧6月)

前期が6月以上の場合は、前期の給与を当期の月数に合わせて調整する必要があります。

例えば、次の場合
・前事業年度 X-1年7/1~X年3/31、9月
・前事業年度の給与 900万円
・当期 X年4月1日~X+1年3/31、12月

比較雇用者給与等支給額は、900万円(前期給与)×12月(当期月数)÷9月(前期月数)=1200万円となります。

前期が6月以上の場合は、前1年事業年度の計算は不要です。

参考規定

比較月数が異なる場合の比較雇用者給与等支給額の計算

18 法第四十二条の十二の五第五項第十一号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 法第四十二条の十二の五第五項第十一号の前事業年度の月数が同号の適用年度の月数を超える場合 当該前事業年度に係る給与等支給額に当該適用年度の月数を乗じてこれを当該前事業年度の月数で除して計算した金額
二 法第四十二条の十二の五第五項第十一号の前事業年度の月数が同号の適用年度の月数に満たない場合 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ 当該前事業年度が六月に満たない場合 当該適用年度開始の日前一年(当該適用年度が一年に満たない場合には、当該適用年度の期間)以内に終了した各事業年度(イにおいて「前一年事業年度」という。)に係る給与等支給額の合計額に当該適用年度の月数を乗じてこれを前一年事業年度の月数の合計数で除して計算した金額
ロ 当該前事業年度が六月以上である場合 当該前事業年度に係る給与等支給額に当該適用年度の月数を乗じてこれを当該前事業年度の月数で除して計算した金額

租税特別措置法施行令第27条の12の5第18項、施行日令和6年9月2日

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