今回は、国外に転出した場合の所得税を再計算できる場合を確認してみましょう。
要件を満たせば再計算
国内に住所や居所がなくなることを「国外転出」といいます。
国外転出の時に、要件を満たす有価証券等を持っていると有価証券等を売却したものとして所得税を計算する必要があります。「国外転出時課税」といいます。
ただし、例外の要件を満たせば、国外転出時課税の対象から外れます。
(例えば、有価証券等の金額が1億円未満の場合)
国外転出時課税は、売却していない有価証券等を売却したものとして所得税が課税される制度ですが、実際に売却した場合は2重計算にならないようにするため、調整計算が認められています。
今回は、実際に売却しない場合であっても再計算(調整)できる特例を確認してみましょう。
どういう特例かといいますと、要件を満たせば、国外転出の時に有価証券等の売却の取り消しが可能です。売却が取り消されると有価証券等の売却損益がなくなります。未決済の信用取引等やデリバティブ取引については、決済の利益や損失がなくなります。
具体的な要件は、3つあります。
1、帰国する場合
2、別の居住者に贈与した場合
3、亡くなった場合
今回は、1と2を確認してみましょう。
帰国する場合
国外転出時課税の対象者となった人が、国外転出の日から5年以内に帰国をした場合は、帰国の時まで持っている有価証券等については、再計算が可能です。
帰国は、
1、国内に住所があること
2、国内に現在まで引き続いて1年以上居所があること
いずれかの要件を満たすものをいいます。
別の居住者に贈与した場合
国外転出時課税の対象者となった人が、国外転出の日から5年以内に有価証券等を他の居住者に贈与した場合は、贈与した有価証券等については、再計算が可能です。
国外転出時課税の対象は、有価証券等の他に
1、未決済の信用取引等
2、未決済のデリバティブ取引
があり、上記2つについても有価証券等の取扱いと同じです。
隠ぺいや仮装した場合
国外転出時課税の再計算は、国外転出時の計算を正しく行っている必要があります。そのため、有価証券等の売却計算を隠ぺいや仮装している場合は再計算の対象から外れるため留意しましょう。
参考規定
国外転出時課税の再計算
6 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人が、当該国外転出の時に有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引のうち次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるものについては、第一項から第三項までの居住者の当該年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上これらの規定により行われたものとみなされた有価証券等の譲渡、未決済信用取引等の決済及び未決済デリバティブ取引の決済の全てがなかつたものとすることができる。ただし、当該有価証券等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額若しくは雑所得の金額、当該未決済信用取引等の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額又は当該未決済デリバティブ取引の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額(以下この項において「有価証券等に係る譲渡所得等の金額」という。)につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき確定申告書を提出し、又は確定申告書を提出していなかつたことにより、当該個人の当該国外転出の日から五年を経過する日までに決定若しくは更正がされ、又は期限後申告書若しくは修正申告書を提出した場合(同日までに期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定又は更正があることを予知してなされたものでないときを除く。)における当該隠蔽し、又は仮装した事実に基づく有価証券等に係る譲渡所得等の金額に相当する金額については、この限りでない。
所得税法第60条の2第6項、施行日令和6年6月12日
一 当該個人が、当該国外転出の日から五年を経過する日までに帰国(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有することとなることをいう。以下この項及び次条第六項において同じ。)をした場合 当該帰国の時まで引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引
二 当該個人が、当該国外転出の日から五年を経過する日までに当該国外転出の時に有していた有価証券等又は締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約を贈与により居住者に移転した場合 当該贈与による移転があつた有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引
三 省略
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