国外転出時課税と納税猶予期間が延長される場合の取消し期間の延長


今回は、国外転出時課税と納税猶予期間が延長される場合の取消し期間の延長を確認してみましょう。

国外に転出した場合

国外に転出する時に、1億円以上の
・有価証券など
・未決済の信用取引等
・未決済のデリバティブ取引
を持っている場合、日本での課税もれを防止するため、国外転出する時に有価証券等の含み損益を精算する特例があります。国外転出時課税といいます。

実際に売却していない有価証券等を売却したものと仮定するため、国外転出の日から5年以内に帰国などをした場合は、含み損益の精算の取消しができます。

今回は、含み損益の取消しに関する特例を確認してみましょう。

今回確認する規定はこちら↓

7 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けているものに係る前項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。

所得税法第60条の2第7項、施行日令和6年6月12日

特例の対象となる人は、国外転出時課税の対象者です。

国外転出時課税には、納税を遅らせる制度(納税猶予)があります。納税猶予の期間は通常5年ですが、別の手続きを済ませば10年に延長できます。

納税猶予の期間を10年に延長した場合は、国外転出時課税の取消し期間についても5年から10年に延長されます。

非居住者に有価証券等の贈与等をした場合

非居住者に有価証券等の贈与等をした場合も、国外転出時課税の対象となります。

この国外転出時課税についても、納税猶予の期間を5年から10年に延長できます。延長した場合は、国外転出時課税の取消し期間も5年から10年に延長されます。

参考規定

非居住者に有価証券等の贈与等をした場合、納税猶予の期間を延長すれば、帰国等の再計算期間も5年から10年に延長される。

7 贈与の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人(次項において「適用贈与者」という。)で第百三十七条の三第三項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けているもの又は相続の開始の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人(次項及び第十一項において「適用被相続人等」という。)でその者の相続人が同条第三項の規定により同条第二項の規定による納税の猶予を受けているものに係る前項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。

所得税法第60条の3第7項、施行日令和6年6月12日

おまけ
贈与の場合は、財産を渡した人が納税の猶予を受けます。
相続の場合は、財産を受け取った人が納税の猶予を受けます。

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