今回は、国外転出した場合の納税猶予の利子税を確認してみましょう。
支払を先延ばしすると利息が発生する。
国外転出すると株式などの含み益に所得税がかかります。実際に株式などを売却していないため、所得税の支払いの先延ばし(納税猶予)が可能です。
納税猶予を利用すると税金の支払いを先延ばしできますが、利子が発生します。利子税といいます。
国外転出する場合の納税猶予は、次の4つ。
1、国外転出する場合
2、実際に株式などを売却した場合
3、更新手続きをしなかった場合
4、税務署長が判断する場合
納税猶予の種類に合わせて、利子税の計算方法も4つあります。
利子税は所得税と一緒に納付する。
利子税は、支払いを先延ばしした期間に応じて計算されます。
計算期間の開始日は、
・確定申告の納付期限
・亡くなった場合の確定申告の納付期限
の翌日です。
計算期間の終了日は、それぞれの納税猶予の期限です。
利率は年7.3%ですが次の特例があります。
利子税特例基準割合
国外転出する場合の納税猶予の利子税については、
・年7.3%
・利子税特例基準割合
の2つのうち、少ない割合が使えます。
利子税特例基準割合は、平均貸付割合に0.5%をプラスします。令和6年分や令和7年分の利子税特例基準割合は0.9%ですので、年0.9%で利子税が計算されます。
参考規定
国外転出した場合の納税猶予の利子税
12 第一項の規定の適用を受ける個人は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当する場合には、当該各号に規定する所得税に相当する金額を基礎とし、当該所得税に係る第百二十八条又は第百二十九条の規定による納付の期限の翌日から当該各号に定める納税の猶予に係る期限までの期間に応じ、年七・三パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を、当該各号に規定する所得税に併せて納付しなければならない。
所得税法第137条の2第12項、施行日令和7年1月1日
一 第一項の規定の適用があつた場合 同項に規定する所得税に係る同項の規定による納税の猶予に係る期限
二 第五項の規定の適用があつた場合 同項に規定する政令で定めるところにより計算した金額に相当する所得税に係る同項の規定による納税の猶予に係る期限
三 第八項の規定の適用があつた場合 同項に規定する所得税に係る同項の規定による納税の猶予に係る期限
四 第九項の規定の適用があつた場合 同項に規定する所得税に係る同項の規定により繰り上げられた納税の猶予に係る期限
利子税特例基準割合が使える場合
(利子税の割合の特例)
租税特別措置法第93条第1項第1号、施行日令和7年1月1日
第九十三条 次の各号に掲げる規定に規定する利子税の年七・三パーセントの割合は、当該各号に掲げる規定にかかわらず、各年の利子税特例基準割合が年七・三パーセントの割合に満たない場合には、その年中においては、当該利子税特例基準割合とする。
一 所得税法第百三十一条第三項、第百三十六条第一項各号、第百三十七条の二第十二項及び第百三十七条の三第十四項(これらの規定を同法第百六十六条において準用する場合を含む。)
利子税特例基準割合=平均貸付割合+0.5%
2 前項に規定する利子税特例基準割合とは、平均貸付割合(各年の前々年の九月から前年の八月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行つた貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を十二で除して計算した割合として各年の前年の十一月三十日までに財務大臣が告示する割合をいう。以下同じ。)に年〇・五パーセントの割合を加算した割
租税特別措置法第93条第2項、施行日令和7年1月1日