今回は、所得税のリース譲渡の経過措置のうち、5年均等計上する場合を確認してみましょう。
主な経過措置は2つ
リース会計基準の変更に併せて、所得税の取扱いも変わります。具体的には、リース資産を販売した場合(リース譲渡)の特例が廃止されます。
急に取扱いが変わると取引や所得税に影響が生じるため、一定の期間、例外が設けられています。経過措置といいます。
リース譲渡の主な経過措置は、2つあります。
1、原則的な取扱い
2、未計上の収入が未計上の経費を超える場合
参考リンク、原則的な取扱い
・所得税のリース譲渡はどう変わる?
今回は、2の取扱いを確認してみましょう。
未計上の収入が未計上の経費を超える場合
法案を確認してみましょう。
4 旧効力所得税法第六十五条第一項本文又は第二項本文の規定の適用を受ける個人のその適用に係る旧リース譲渡に係る収入金額及び費用の額が前項各号に掲げる場合に該当する場合において、当該旧リース譲渡に係る未計上収入金額が当該旧リース譲渡に係る未計上経費額を超えるときは、同項の規定にかかわらず、第一号に掲げる金額(事業を廃止した日の属する年及び同号に掲げる金額がそれぞれ第二号に掲げる金額を超える年にあっては、同号に掲げる金額)を、基準年以後の各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。
所得税法等の一部を改正する法律案
一 当該未計上収入金額及び未計上経費額をそれぞれ六十で除し、これらにその年において事業を営んでいた期間の月数を乗じて計算した金額
二 イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額
イ 当該未計上収入金額及び未計上経費額
ロ イに掲げる金額のうちその年の前年以前の各年分の事業所得の金額の計算上総収入金額及び必要経費に算入された金額
・旧効力所得税法第65条第1項本文(延払基準、賦払金割合、リース譲渡)
・旧効力所得税法第65条第2項本文(20%相当額を利息相当額とする特例)
の特例を利用する個人が対象です。
上記特例の収入金額と費用の額が一定の場合に
・未計上収入金額>未計上経費額
の場合は、原則的な経過措置ではなく、今回確認する経過措置により計算する必要があります。
一定の場合とは、次の2つ。
・第1号、令和8年か令和9年に延払基準の方法を止めた場合
・第2号、令和9年までに未計上の金額がある場合(例外あり)
原則は、5年均等計上
計算方法は、2つあります。
第1号
未計上収入金額÷60月×営業月数を収入金額にプラス。
未計上経費額÷60月×営業月数を必要経費にプラス。
例えば、
未計上収入金額 120÷60×12=24を収入金額にプラスします。
未計上経費額 100÷60×12=20を必要経費にプラスします。
第2号
・第1号の金額>第2号の金額となる場合
・事業を廃止した日の属する年
は、第2号の金額を計上します。
計上額(残額)=イの金額-ロの金額
イの金額=未計上収入金額と未計上経費額
ロの金額=未計上収入金額と未計上経費額のうち過去に計上した金額
まだ計上されていない残額を最後の年で計上するという意味です。
リース譲渡の経過措置の5年均等計上を利用する場合は、確定申告書に経過措置を利用する旨を記載する必要があるので注意しましょう。
参考規定など
5年均等計上の経過措置は、確定申告書の記載要件あり。
5 前項の規定は、基準年の年分の所得税に係る確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨の記載がある場合に限り、適用する。
所得税法等の一部を改正する法律案
やむを得ない事情があれば、記載がなくても認められる。
6 税務署長は、前項の確定申告書の提出がなかった場合又は同項の記載がない確定申告書の提出があった場合においても、その提出がなかったこと又はその記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第四項の規定を適用することができる。
所得税法等の一部を改正する法律案
1月未満の端数は、切り捨て。
7 第四項第一号の月数は、暦に従って計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。
所得税法等の一部を改正する法律案
その他
8 旧効力所得税法第六十五条第一項本文又は第二項本文の規定の適用を受けている個人が死亡し、又は出国をする場合における旧リース譲渡に係る収入金額及び費用の額の処理の特例その他第二項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法等の一部を改正する法律案
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