前期に適格合併があった場合の防衛特別法人税の中間申告


今回は、前期に適格合併があった場合の防衛特別法人税の中間申告を確認してみましょう。

加算特例がある。

法人税の中間申告が必要な法人については、防衛特別法人税についても中間申告が必要となります。

法人税には中間申告の特例があり、一定期間中に適格合併があった場合は、被合併法人(合併される法人)の一定の方法で計算した金額を中間申告の法人税にプラスする必要があります。

上記の特例が防衛特別法人税にもあります。

参考規定はこちら↓

2 前項の場合において、同項の法人が次の各号に掲げる期間内に行われた適格合併(法人を設立するものを除く。以下この項において同じ。)に係る合併法人であるときは、その法人が提出すべき当該課税事業年度の防衛特別法人税中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。

「前項の場合において」は、第1項の防衛特別法人税の中間申告の必要がある場合において、という意味です。

カッコ書きで、「法人を設立するものを除く。」とあり、法人が新設される合併(新設合併)の場合は除外されます。新設合併の場合は他の特例が適用されるからです。

法人税や防衛特別法人税の中間申告の特例は、適格合併に限定されていますので、適格合併に該当しない合併については、適用されません。

特例の計算は2つあります。
1、前期に適格合併があった場合
2、当期に適格合併があった場合

今回は、1の取扱いを確認してみましょう。

前期に適格合併があった場合

カッコ書きを省略してみましょう。

当該法人の当該課税事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各課税事業年度(注1)の防衛特別法人税額(注2)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい課税事業年度に係るもの(注3)をその計算の基礎となった当該被合併法人の課税事業年度の月数で除し、これに当該法人の当該前課税事業年度の月数のうちに占める当該前課税事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額

「当該法人の当該課税事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各課税事業年度」は、合併した法人の事業年度の開始日から1年前にさかのぼって、その日以後に終わった被合併法人(合併された法人)の事業年度という意味です。

ただし、カッコ書きで6月に満たないものは除外されます。
(6月は除外されません。)

「六月経過日」は、事業年度の開始日以後6月を経過した日をいいます。

例えば、4月1日に事業年度が開始する場合は、10月1日が6月経過日となります。

6月経過日の前日(9月30日)までに確定したものを「被合併法人確定防衛特別法人税額」といいます。「被合併法人確定防衛特別法人税額」が複数ある場合は、最も新しいものに限定されます。

考え方

数字を使ってプラスする金額を確認してみましょう。

・被合併法人確定防衛特別法人税額 800万円
・被合併法人の事業年度の月数 8月
・当該法人の当該前課税事業年度の月数 12月
・当該前課税事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数 8月
・中間期間の月数 6月

月数や金額を規定にあてはめてみましょう。

被合併法人確定防衛特別法人税額(800万円)をその計算の基礎となった当該被合併法人の課税事業年度の月数(8月)で除し、これ(800万円÷8月=100万円)に

当該法人の当該前課税事業年度の月数(12月)のうちに占める「当該前課税事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数(8月)の割合(8/12)に中間期間の月数(6月)」を乗じた数(4)

を乗じて計算した金額

算式
800万円÷8月=100万円
×8月÷12月×中間期間の月数(6月)=4
=約400万円となります。

イメージ

計算の考え方は、法人税と同じです。

参考規定

適格の吸収合併があった場合の中間申告

2 前項の場合において、同項の法人が次の各号に掲げる期間内に行われた適格合併(法人を設立するものを除く。以下この項において同じ。)に係る合併法人であるときは、その法人が提出すべき当該課税事業年度の防衛特別法人税中間申告書については、前項第一号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、同号の規定により計算した金額に相当する金額に当該各号に定める金額を加算した金額とする。
一 当該課税事業年度の前課税事業年度 当該法人の当該課税事業年度開始の日の一年前の日以後に終了した当該適格合併に係る被合併法人の各課税事業年度(その月数が六月に満たないものを除く。)の防衛特別法人税額(第十六条第十三項において準用する同条第九項の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額。第五項において同じ。)で六月経過日の前日までに確定したもののうち最も新しい課税事業年度に係るもの(次号及び次項において「被合併法人確定防衛特別法人税額」という。)をその計算の基礎となった当該被合併法人の課税事業年度の月数で除し、これに当該法人の当該前課税事業年度の月数のうちに占める当該前課税事業年度開始の日から当該適格合併の日の前日までの期間の月数の割合に中間期間の月数を乗じた数を乗じて計算した金額
二 省略

我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法第21条第2項、令和8年4月1日施行

おまけコーナー、2つ目のカッコ書きの内容

防衛特別法人税額(第十六条第十三項において準用する同条第九項の規定により加算された金額がある場合には、当該金額を控除した金額。第五項において同じ。)

第16条第13項は通算法人が合併により解散した場合、第9項は過去の外国税額控除の差額を進行年度の防衛特別法人税に加算する特例です。

この場合に加算された金額については除外して防衛特別法人税を計算します。

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