仮決算をした場合の法人税の中間申告


今回は、仮決算をした場合の法人税の中間申告を確認してみましょう。

中間申告は実額で計算できる。

法人税には、前半6カ月の法人税を概算で納付する制度があります。中間申告といいます。概算は、前期の法人税の1/2です。

前半6カ月の業績は考慮されないため、赤字であっても一旦納付する必要がありますが、納付する法人税を少なくできる制度もあります。仮決算といいます。

今回は、仮決算の規定を確認してみましょう。
(参考規定は後半に掲載しています。)

「当該事業年度開始の日以後6月の期間を1事業年度とみなして当該期間に係る課税標準である所得の金額又は欠損金額を計算した場合」は、前半6カ月を1つの計算期間として実際の黒字や赤字を計算した場合という意味です。

「第71条第1項各号(中間申告)に掲げる事項に代えて、」は、前期の法人税×6/12(中間申告で支払う法人税)等の記載事項に代えて、という意味です。

第1号、前半6カ月の実際に計算した黒字や赤字のことです。
第2号、黒字の場合は税額計算(第2節)を使って法人税の計算が必要です。

ただし、カッコ書きで次の3つは除外されています。
・第67条、留保金課税
・第68条第3項、所得税額の控除
・第70条、粉飾決算などがあった場合の法人税額の控除

第68条第3項(所得税額の控除)は、所得税額の控除により還付がある場合のことです。除外されていますので、仮決算では所得税の還付が受けられません。

仮決算できない場合

ただし書きで、仮決算ができない場合が4つ規定されています。

1、前期の法人税×6/12≦10万円以下の場合

前期の法人税が少額の場合は中間申告が不要となります。中間申告が不要な法人については仮決算による中間申告ができません。

2、災害等により中間申告の期限が確定申告の期限まで延長された場合

中間申告の期限が確定申告の期限と同日となる場合は、中間申告が不要となりますので、仮決算による中間申告ができません。

3、実際に計算した中間申告の法人税>前期の法人税×6/12の場合

仮決算は、納付する中間申告の法人税を少なくできる制度だからです。

例えば、次の場合は、仮決算による中間申告ができません。
・前半6カ月の実績で計算した法人税 200万円
・前期の法人税×6/12 150万円

4、受託法人(法人課税信託の受託者である法人)である場合

添付書類が必要

仮決算による中間申告については、
前半6カ月の実際の金額を使用しますので、6カ月経過時点の
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・勘定科目内訳明細書など
を中間申告書に添付する必要があります。

参考規定など

仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等

第七十二条 内国法人である普通法人が当該事業年度開始の日以後六月の期間を一事業年度とみなして当該期間に係る課税標準である所得の金額又は欠損金額を計算した場合には、その普通法人は、第七十一条第一項各号(中間申告)に掲げる事項に代えて、次に掲げる事項を記載した中間申告書を提出することができる。ただし、同項ただし書若しくは前条の規定により中間申告書を提出することを要しない場合(当該期間において生じた第四項に規定する災害損失金額がある場合を除く。)、第二号に掲げる金額が第七十一条の規定により計算した同条第一項第一号に掲げる金額を超える場合又は当該普通法人が第四条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人である場合は、この限りでない。
一 当該所得の金額又は欠損金額
二 当該期間を一事業年度とみなして前号に掲げる所得の金額につき前節(税額の計算)(第六十七条(特定同族会社の特別税率)、第六十八条第三項(所得税額の控除)及び第七十条(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)を除く。)の規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額
三 前二号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

法人税法第72条第1項、令和7年4月1日施行

財務諸表などを中間申告書に添付する必要があります。

2 前項に規定する事項を記載した中間申告書には、同項に規定する期間の末日における貸借対照表、当該期間の損益計算書その他の財務省令で定める書類を添付しなければならない。

法人税法第72条第2項、令和7年4月1日施行

おまけ
消費税にも仮決算制度があり、法人税と分けて仮決算が選択できます。

例えば、次の選択が可能です。
・法人税は概算、消費税は仮決算
・法人税は仮決算、消費税は概算
・法人税も消費税も仮決算

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