消費税のリース譲渡の経過措置_施行令_附則第3条第4項


今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第4項を確認してみましょう。

附則第3条第4項、読替規定

先に読替規定を確認してみましょう。

4 改正法附則第二十二条第二項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧法第十六条の規定の適用がある場合における消費税法第四十三条第二項及び第四十五条第五項並びに新令第二十八条第一項及び第六十二条第二項の規定の適用については、同法第四十三条第二項中「第十六条第三項」とあるのは「旧効力消費税法(所得税法等の一部を改正する法律(令和七年法律第十三号)附則第二十二条第三項に規定する旧効力消費税法をいう。第四十五条第五項において同じ。)第十六条第三項」と、同法第四十五条第五項ただし書中「第十六条第一項、第十七条第一項若しくは第二項本文又は第十八条第一項」とあるのは「第十七条第一項若しくは第二項本文若しくは第十八条第一項又は旧効力消費税法第十六条第一項」と、新令第二十八条第一項中「並びに第三十八条第二項及び第四十一条」とあるのは「、第三十八条第二項及び第四十一条の規定並びに旧効力令(消費税法施行令の一部を改正する政令(令和七年政令第百二十五号)附則第三条第五項に規定する旧効力令をいう。第六十二条第二項において同じ。)第三十五条及び第三十六条の二」と、新令第六十二条第二項中「の規定」とあるのは「の規定及び旧効力令第三十六条の二の規定」とする。

消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第4項

改正法附則第22条第2項は、旧リース譲渡を行ったことがある事業者の経過措置です。旧法第16条は、「リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例」です。

リース譲渡の経過措置を適用した場合は、他の規定も読み替える必要があります。

今回確認する経過措置の対象となる規定は、次の4つです。
・消費税法第43条第2項
・消費税法第45条第5項
・消費税法施行令第28条第1項
・消費税法施行令第62条第2項

1つずつ確認してみましょう。

消費税法第43条第2項、仮決算による中間申告

読み替えた後の規定を確認してみましょう。

2 前項に規定する中間申告対象期間における課税資産の譲渡等に係る課税標準である金額の合計額及び特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額並びに同項第二号に掲げる消費税額及び同項第三号に掲げる消費税額の合計額の計算については、旧効力消費税法(所得税法等の一部を改正する法律(令和七年法律第十三号)附則第二十二条第三項に規定する旧効力消費税法をいう。第四十五条第五項において同じ。)第十六条第三項中「第四十五条第一項の規定による申告書(当該申告書に係る国税通則法第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書を含む」とあるのは「中間申告書(第四十二条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書で第四十三条第一項各号に掲げる事項を記載したものをいう」と、第十七条第四項及び第十八条第二項中「第四十五条第一項の規定による申告書」とあるのは「中間申告書」とする。

こちらも読替規定となっています。

消費税の中間申告は、
・前期実績による中間申告
・仮決算による中間申告
の2つがあります。

仮決算による方法を選択した場合は、
確定申告書に付記する要件を
中間申告書に付記する要件に読み替えます。

読み替える規定は、次の3つです。
・第16条第3項、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第17条第4項、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第18条第2項、小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例

消費税法第45条第5項、売上消費税の積上げ計算

読み替えた後の規定を確認してみましょう。

5 第一項の規定による申告書を提出する事業者が、当該申告書に係る課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを第五十七条の四第六項の規定により保存している場合(同項の規定により同項の電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該課税資産の譲渡等に係る第一項第二号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額については、同号の規定にかかわらず、当該適格請求書に記載した同条第一項第五号に掲げる消費税額等その他の政令で定める金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とすることができる。ただし、第十七条第一項若しくは第二項本文若しくは第十八条第一項又は旧効力消費税法第十六条第一項の規定その他政令で定める規定の適用を受ける課税資産の譲渡等については、この限りでない。

消費税法第45条第5項は、売上消費税を積み上げて計算する規定です。経過措置ではただし書きの部分を読み替えています。

ただし書きには、積み上げ計算ができない規定が規定されています。
・第17条第1項、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第17条第2項本文、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第18条第1項、小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例
・旧効力消費税法第16条第1項、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
・その他政令で定める規定、役員に対するみなし譲渡

読み替える前の規定を確認してみましょう。

「ただし、第十六条第一項、第十七条第一項若しくは第二項本文又は第十八条第一項の規定その他政令で定める規定の適用を受ける課税資産の譲渡等については、この限りでない。」

・第16条第1項、個人事業者の山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第17条第1項、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第17条第2項本文、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
・第18条第1項、小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例
・その他政令で定める規定、役員に対するみなし譲渡

比較表

読替え前読替え後
第16条第1項、個人事業者の山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の延払条件付譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
第17条第1項、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例第17条第1項、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
第17条第2項本文、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例第17条第2項本文、工事の請負に係る資産の譲渡等の時期の特例
第18条第1項、小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例第18条第1項、小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例
旧効力消費税法第16条第1項、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
その他政令で定める規定、役員に対するみなし譲渡その他政令で定める規定、役員に対するみなし譲渡
新令第28条第1項、法人課税信託の受託者に関する特例

読み替えた後の規定を確認してみましょう。

(法人課税信託の受託者に関する特例)
第二十八条 受託事業者(法第十五条第三項に規定する受託事業者をいう。以下この条において同じ。)についての法第三十二条第七項、第三十三条第一項、第三十四条第一項、第三十五条、第三十五条の二第一項及び第二項、第三十六条第三項、第三十八条第四項、第三十八条の二第四項並びに第三十九条第六項の規定、第三十八条第二項及び第四十一条の規定並びに旧効力令(消費税法施行令の一部を改正する政令(令和七年政令第百二十五号)附則第三条第五項に規定する旧効力令をいう。第六十二条第二項において同じ。)第三十五条及び第三十六条の二の規定の適用については、信託の併合は合併とみなし、信託の併合に係る従前の信託である法人課税信託(法第十五条第一項に規定する法人課税信託をいう。以下この条において同じ。)に係る受託事業者は被合併法人に含まれるものと、信託の併合に係る新たな信託である法人課税信託に係る受託事業者は合併法人に含まれるものとし、信託の分割は法人の分割とみなし、信託の分割によりその信託財産の一部を受託者を同一とする他の信託又は新たな信託の信託財産として移転する法人課税信託に係る受託事業者は分割法人に含まれるものと、信託の分割により受託者を同一とする他の信託からその信託財産の一部の移転を受ける法人課税信託に係る受託事業者は分割承継法人に含まれるものとする。

信託の併合を合併、信託の分割を法人の分割とする規定です。

太文字の部分を確認してみましょう。

  • 施行令第38条第2項、個人事業者が死亡した場合又は法人が合併等をした場合の特定工事の請負に係る資産の譲渡等の時期
  • 施行令第41条、事業を開始した日の属する期間等の範囲等
  • 旧効力令第35条、合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例
  • 旧効力令第36条の2、リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例

読替規定により、旧効力令第35条と第36条の2が追加されています。

新令第62条第2項、課税標準額に対する消費税額の算出方法の特例

読み替えた後の規定を確認してみましょう。

2 法第四十五条第五項ただし書に規定する政令で定める規定は、法第二十八条第一項ただし書の規定及び旧効力令第三十六条の二の規定とする。

「旧効力令第36条の2」が追加されています。

旧効力令第36条の2は、「リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例」です。

法第45条第5項ただし書きには、売上消費税の積上げ計算ができない規定が規定されています。リース譲渡の特例を選択した場合も売上消費税の積上げ計算ができなくなります。

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