今回は、相続時精算課税と遺産に係る基礎控除の関係を確認してみましょう。
遺産に係る基礎控除の計算に影響がある。
先に規定を確認してみましょう。
(相続時精算課税に係る相続税額)
相続税法第21条の14、令和7年6月1日施行
第二十一条の十四 特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した者及び当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者の相続税の計算についての第十五条の規定の適用については、同条第一項中「(第十九条」とあるのは「(第十九条、第二十一条の十五又は第二十一条の十六」と、「同条」とあるのは「これら」とする。
相続時精算課税の贈与をした人を「特定贈与者」といいます。
・特定贈与者から相続などにより財産を取得した人
・特定贈与者の相続時精算課税適用者
の相続税の計算についての第15条の適用については、とあります。
第15条は、遺産に係る基礎控除のことです。
(課税される財産から3000万円+法定相続人×600万円をマイナスできる規定)
読替規定
読み替える必要がありますので、読み替え後の規定を確認してみましょう。
(遺産に係る基礎控除)
第十五条 相続税の総額を計算する場合においては、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格(第十九条、第二十一条の十五又は第二十一条の十六の規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。)の合計額から、3000万円と600万円に当該被相続人の相続人の数を乗じて算出した金額との合計額(以下「遺産に係る基礎控除額」という。)を控除する。
読み替え部分を確認してみると
相続税の課税価格(課税される金額)のカッコ書きの中で
・第19条、相続開始前7年以内に贈与があつた場合の相続税額(生前贈与加算)
・第21条の15
・第21条の16
の適用がある場合は、上記3つの規定を適用した後の金額が相続税の課税価格(課税される金額)となります。
第21条の15は、相続などにより財産を取得した相続時精算課税を選択した人に関する読替規定です。
第21条の16は、相続などにより財産を取得しなかった相続時精算課税を選択した人に関する読替規定です。
上記2つは、相続税の計算に、相続時精算課税を選択した贈与により取得した財産を追加(考慮)する内容となっています。
参考情報
カッコ書きの「相続税の課税価格とみなされた金額。次条から第十八条まで及び第十九条の二において同じ。」について
・次条(第16条)、相続税の総額(相続税の合計を計算する規定)
・第17条、各相続人等の相続税額(受け取った人の相続税を計算する規定)
・第18条、相続税額の加算(孫やひ孫などの相続税が20%増える特例)・第19条、相続開始前七年以内に贈与があつた場合の相続税額(生前贈与の加算)
・第19条の2、配偶者に対する相続税額の軽減