今回は、相続などで財産を取得しなかった場合の相続時精算課税と未成年者の控除を確認してみましょう。
18歳未満の場合、相続税が減る。
亡くなった方(被相続人)の財産を相続などで受け取った人が未成年の場合、18歳に達するまでの年数に応じて、相続税の控除が受けられます。未成年者控除といいます。
未成年者控除の主な要件は、次の3つです。
1、相続や遺贈により財産を取得した。
2、民法で規定されている相続人(法定相続人)に該当する。
3、18歳未満である。
相続時精算課税との関係
贈与税を相続のときに精算する方法(相続時精算課税)を選択した場合、
・贈与した財産の金額
・贈与税など
が相続税の計算に追加されます。
この追加される規定(読替規定)に、未成年者控除があります。
読替規定のうち、未成年者控除に関する部分を確認してみましょう。
第十九条の三第三項中「財産」とあるのは「財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)」と、
実際に「相続税法第19条の3第3項」を読み替えてみましょう。
3 第一項の規定に該当する者がその者又はその扶養義務者について既に前二項の規定による控除を受けたことがある者である場合においては、その者又はその扶養義務者がこれらの規定による控除を受けることができる金額は、既に控除を受けた金額の合計額が第一項の規定による控除を受けることができる金額(二回以上これらの規定による控除を受けた場合には、最初に相続又は遺贈により財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で第二十一条の九第三項の規定の適用を受けるものを含む。)を取得した際に同項の規定による控除を受けることができる金額)に満たなかつた場合におけるその満たなかつた部分の金額の範囲内に限る。
第3項は、2回目以降の未成年者控除を受ける場合の制限が規定されています。未成年者控除は、要件を満たせば2回以上受けられます。ただし、相続税からマイナスできる金額は、1回目の相続で計算した控除額が限度となります。
例えば、次の場合
・1回目の未成年者控除の金額 80万円
・実際にマイナスした金額 30万円
2回目以降にマイナスできる金額は、1回目の30万円を除いた50万円となります。
相続時精算課税を選択した場合の贈与は相続税の計算に追加しますので、相続や遺贈で受け取った「財産」の中に、
「被相続人(例、親)からの贈与により取得した財産で第21条の9第3項の規定の適用を受けるもの(相続時精算課税を選択した財産)」
が含まれることになります。
参考規定など
未成年者控除
第十九条の三 相続又は遺贈により財産を取得した者(第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者を除く。)が当該相続又は遺贈に係る被相続人の民法第五編第二章(相続人)の規定による相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)に該当し、かつ、十八歳未満の者である場合においては、その者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から十万円にその者が十八歳に達するまでの年数(当該年数が一年未満であるとき、又はこれに一年未満の端数があるときは、これを一年とする。)を乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。
相続税法第19条の3第1項、令和7年6月1日施行
第1項と第2項の読み替えはありません。第1項は、未成年者の相続税が減る計算方法が規定されています。
2 前項の規定により控除を受けることができる金額がその控除を受ける者について第十五条から前条までの規定により算出した金額を超える場合においては、その超える部分の金額は、政令で定めるところにより、その控除を受ける者の扶養義務者が同項の被相続人から相続又は遺贈により取得した財産の価額について第十五条から前条までの規定により算出した金額から控除し、その控除後の金額をもつて、当該扶養義務者の納付すべき相続税額とする。
相続税法第19条の3第2項、令和7年6月1日施行
第2項は、未成年者の相続税からマイナスしきれない場合、未成年者の相続税からマイナスできなかった部分を扶養義務者の相続税からマイナスできることが規定されています。
参考リンク
・相続時精算課税と未成年者控除