修正申告等に伴う更正の請求の特例_所得税


今回は、所得税特有の更正の請求を確認してみましょう。

内容

確定申告した税額などに誤りがある場合、再計算が可能です。

税額などを増やす再計算を修正申告、
税額などを減らす再計算を更正の請求といいます。

今回確認する所得税特有の更正の請求については、
修正申告書を提出した日等の翌日から2月以内が期限となります。

更正の請求の要件は、次の2つです。
1、修正申告書の提出、更正、決定が発生している。
2、1の年分後の決定があった年分に更正の請求事由が発生している。

次の場合で考えてみましょう。
・X年分、確定申告している。
・X+1年分、確定申告していない。
・X+2年中に、X+1年分について決定を受けた。X年分の修正申告を行った。

修正申告の内容
X年分の売上げ1,000をX+1年に計上していたため、
X年分の売上げとして修正申告を行った。

上記の場合、X+1年分の売上げが1000減少するため、
更正の請求事由が発生している場合は、2月以内に更正の請求が可能です。

関係図

更正の請求事由

更正の請求事由は、次の2つです。

1、次の金額が過大となる場合
 A、所得税
 B、所得税から源泉徴収税額をマイナスした金額
 C、A又はBから予納税額をマイナスした金額

2、次の金額が過少となる場合
 A、還付等申告の控除しきれなかった源泉徴収税額
 B、還付等申告の控除しきれなかった予納税額
 C、損失申告の源泉徴収税額
 D、損失申告の予納税額

参考規定

前年分の所得税額等の更正等に伴う更正の請求の特例

第百五十三条 確定申告書に記載すべき第百二十条第一項第一号若しくは第三号から第五号まで(確定所得申告)、第百二十二条第一項第一号から第三号まで(還付等を受けるための申告)又は第百二十三条第二項第一号若しくは第五号から第八号まで(確定損失申告)に掲げる金額につき、修正申告書を提出し、又は更正若しくは決定を受けた居住者(その相続人を含む。)は、その修正申告書の提出又は更正若しくは決定に伴い次の各号に掲げる場合に該当することとなるときは、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日の翌日から二月以内に限り、税務署長に対し、当該各号に規定する金額につき国税通則法第二十三条第一項(更正の請求)の規定による更正の請求(次条から第百五十三条の六まで(国外転出をした者が帰国をした場合等の更正の請求の特例等)、第百五十九条(更正等による源泉徴収税額等の還付)及び第百六十条(更正等による予納税額の還付)において「更正の請求」という。)をすることができる。この場合においては、更正請求書には、同法第二十三条第三項に規定する事項のほか、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日を記載しなければならない。
一 その修正申告書又は更正若しくは決定に係る年分の翌年分以後の各年分で決定を受けた年分に係る第百二十条第一項第三号から第五号までに掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過大となる場合
二 その修正申告書又は更正若しくは決定に係る年分の翌年分以後の各年分で決定を受けた年分に係る第百二十二条第一項第二号若しくは第三号又は第百二十三条第二項第七号若しくは第八号に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過少となる場合

所得税法

1号、その修正申告書又は更正若しくは決定に係る年分の
翌年分以後の各年分で決定を受けた年分に係る
第120条第1項第3号から第5号までに掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過大となる場合

2号、その修正申告書又は更正若しくは決定に係る年分の
翌年分以後の各年分で決定を受けた年分に係る
第122条第1項第2号若しくは第3号又は
第123条第2項第7号若しくは第8号に掲げる金額(当該金額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の金額)が過少となる場合

確定所得申告

第百二十条
三 第一号に掲げる課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額につき第三章(税額の計算)の規定を適用して計算した所得税の額
四 第一号に掲げる総所得金額若しくは退職所得金額又は純損失の金額の計算の基礎となつた各種所得につき源泉徴収をされた又はされるべき所得税の額(当該所得税の額のうちに、第百二十七条第一項から第三項まで(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定による申告書を提出したことにより、又は当該申告書に係る所得税につき更正を受けたことにより還付される金額その他政令で定める金額がある場合には、当該金額を控除した金額。以下この号及び次号において「源泉徴収税額」という。)がある場合には、前号に掲げる所得税の額からその源泉徴収税額を控除した金額
五 その年分の予納税額がある場合には、第三号に掲げる所得税の額(源泉徴収税額がある場合には、前号に掲げる金額)から当該予納税額を控除した金額

所得税法

還付等を受けるための申告

第百二十二条 居住者は、その年分の所得税につき第一号から第三号までに掲げる金額がある場合には、次条第一項の規定による申告書を提出することができる場合を除き、第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)又は第百三十九条第一項若しくは第二項(予納税額の還付)の規定による還付を受けるため、税務署長に対し、第百二十条第一項各号(確定所得申告)に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載した申告書を提出することができる。
一 第百二十条第一項第三号に掲げる所得税の額の計算上控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合には、その控除しきれなかつた金額
二 第百二十条第一項第四号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合には、その控除しきれなかつた金額
三 第百二十条第一項第五号に掲げる金額の計算上控除しきれなかつた同条第二項に規定する予納税額がある場合には、その控除しきれなかつた金額
四 前三号に掲げる金額の計算の基礎その他財務省令で定める事項

所得税法

1号、第120条第1項第3号に掲げる所得税の額の計算上
控除しきれなかつた外国税額控除の額がある場合には、
その控除しきれなかつた金額

2号、第120条第1項第4号に掲げる金額の計算上
控除しきれなかつた同号に規定する源泉徴収税額がある場合には、
その控除しきれなかつた金額

3号、第120条第1項第5号に掲げる金額の計算上
控除しきれなかつた同条第二項に規定する予納税額がある場合には、
その控除しきれなかつた金額

確定損失申告

第百二十三条
七 第一号に掲げる純損失の金額又は第三号若しくは第四号に掲げる総所得金額若しくは退職所得金額の計算の基礎となつた各種所得に係る第百二十条第一項第四号(確定所得申告)に規定する源泉徴収税額がある場合には、当該源泉徴収税額
八 その年分の第百二十条第二項に規定する予納税額がある場合には、当該予納税額

所得税法

7号、第一号に掲げる純損失の金額又は
第三号若しくは第四号に掲げる総所得金額若しくは退職所得金額の計算の基礎となつた各種所得に係る第120条第1項第4号(確定所得申告)に規定する源泉徴収税額がある場合には、当該源泉徴収税額

8号、その年分の第120条第2項に規定する予納税額がある場合には、
当該予納税額

2023/12/14、情報更新

訂正前

例えば、令和2年分の売上1,000を令和3年に計上した場合、
令和2年分の修正申告が可能です。

この修正申告を行った場合、
修正申告書を提出した日の翌日から2月以内に
令和3年分の更正の請求が可能です。

令和2年分の所得税令和3年分の所得税
売上が1,000少ない

税金が少なく計算

修正申告が可能
売上が1,000多い

税金が多く計算

更正の請求が可能(2月以内)
まとめ
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