今回は、リース譲渡で時価を超える下取りをした場合の消費税の基本通達を確認してみましょう。
基本通達が削除された。
令和7年6月30日に、消費税法基本通達新旧対照表が公表されています。
参考リンク
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/kaisei/0025006-073/pdf/01.pdf
削除された基本通達で気になった部分が「消費税法基本通達9-3-6、資産を下取りした場合の対価の額」です。
取扱いは2つあります。時価を超える金額で下取りをした場合は、
1、超える部分の金額については、下取りの金額に含めない。
2、超える部分の金額については、リース譲渡の値引きとする。
法人税や所得税の考え方に合わせた基本通達ですが、消費税の場合、合理的に計算できない場合があります。
参考リンク
・リース譲渡で時価を超える下取りをした場合_消費税
・リース譲渡で時価を超える下取りをした場合_法人税と所得税
異なる番号に変更されたのかと思いましたが、改正後の基本通達では確認できていません。消費税は、原則として時価ではなく実際の対価で計算しますので、取扱いが変更されている可能性があります。
法人税の取扱い
法人税は、消費税と異なり時価で計算します。法人税の基本通達は削除されていないのでは?と思いましたので、確認してみましょう。
別紙、第1 法人税基本通達関係
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/kaisei/2506xx/pdf/02.pdf
改正前の2-4-6(時価以上の価額で資産を下取りした場合の対価の額)は、廃止されています。
廃止されていますが、時価で計算することは変わりませんので、法人税と消費税で取扱いが分かれることになると思います。
法人税と消費税の考え方
参考リンクと同じ事例で確認してみましょう。
貸し手
・リース譲渡の対価 200万円
・下取資産の時価 100万円
・実際の下取資産の価額 160万円
(売上原価等は考慮していません。)
貸し手の取扱い、法人税
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 200万円 | リース売上高 200万円 |
下取資産(時価) 100万円 | 現預金 100万円 |
リース売上高(値引き) 60万円 | 現預金 60万円 |
法人税の基本通達が削除されているため、時価を超える金額(60万円)は、リース譲渡の値引きとして取り扱われない可能性があります。
寄附金、交際費、役員給与などの可能性があるということだと思います。
貸し手の取扱い、消費税
時価を超える場合の基本通達が削除されていますので、実際の対価で消費税を計算しますと、下記の仕訳となります。
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 200万円 | リース売上高 200万円 |
下取資産(対価) 160万円 | 現預金 160万円 |
リース売上高の値引きとして取り扱う必要がありません。
借り手の取扱い、消費税
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 100万円 | 売却資産 100万円 (簿価=時価と仮定) |
現預金 60万円 | 売却益 60万円 (時価を超える部分) |
リース資産 200万円 | 現預金 200万円 |
借り手は、時価を超える160万円で売却しているため、160万円のインボイスを発行する必要があります。貸し手は160万円のインボイスを借り手から受け取るため、整合性がとれるようになります。
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おまけ
現時点で所得税の基本通達は残っていますが、法人税の考え方と似ていますので、いずれ廃止されるのかなと。
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