雑所得に関する書類の保存義務


今回は、雑所得の書類の保存義務を確認します。

内容

所得税の計算では、給与所得(サラリーマンなど)、
雑所得(副業など)、配当所得などでは青色申告ができません。
青色申告の承認を受けていない場合は、白色申告となり、
一部の所得について記帳や書類の保存の義務があります。

雑所得については書類の保存義務がありませんでしたが、
令和4年分から書類の保存義務が定められています。

対象者
本年に雑所得が生ずる業務を行う人

書類の保存義務の要件
2年前の雑所得の業務に関する収入金額が300万円を超える場合

義務の内容
収入と経費に関する事項を記載した書類(※)を保存する必要があります。
※ 現金預金取引等関係書類といいます。

雑所得が生じる本年の収入金額が300万円を超えるかではなく、
2年前の収入金額で判定します。うっかり忘れそうですね。

現金預金取引等関係書類について

具体的には、雑所得の業務に関して作成や受領した次の書類
・請求書
・領収書
・これらに類する書類
・自分で作成した書類の写しがある場合は写しを含む
のうち、現金や通帳の入出金に関して作成されたものをいいます。

現金預金取引等関係書類については、税務調査等の検査の対象となります。
実務上、現金や通帳の入出金に関しないものも一緒に作成するのでしょう。

参考規定など

国税庁、タックスアンサー、No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm

所得税法
(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)
第二百三十二条 その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う居住者又は第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に定める国内源泉所得に係るこれらの業務を行う非居住者(青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている者を除く。)は、財務省令で定めるところにより、帳簿を備え付けてこれにこれらの所得を生ずべき業務に係るその年の取引(恒久的施設を有する非居住者にあつては、第百六十一条第一項第一号(国内源泉所得)に規定する内部取引に該当するものを含む。次項において同じ。)のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を財務省令で定める簡易な方法により記録し、かつ、当該帳簿(その年においてこれらの業務に関して作成したその他の帳簿及びこれらの業務に関して作成し、又は受領した財務省令で定める書類を含む。第三項において同じ。)を保存しなければならない。

 その年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者又は第百六十四条第一項各号に定める国内源泉所得に係る雑所得を生ずべき業務を行う非居住者で、その年の前々年分のこれらの雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が三百万円を超えるものは、財務省令で定めるところにより、これらの雑所得を生ずべき業務に係るその年の取引のうち総収入金額及び必要経費に関する事項を記載した書類として財務省令で定める書類を保存しなければならない。

 国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、前二項の規定の適用を受ける者の所得税に係るこれらの規定に規定する総収入金額及び必要経費に関する事項の調査に際しては、第一項の帳簿又は前項の書類を検査するものとする。ただし、当該帳簿又は当該書類の検査を困難とする事情があるときは、この限りでない。

所得税法

(事業所得等に係る取引に関する帳簿の記録の方法及び帳簿書類の保存)
第百二条
 法第二百三十二条第二項に規定する財務省令で定める書類は、同項に規定する居住者又は非居住者(次項において「居住者等」という。)が同条第二項に規定する業務に関して作成し、又は受領した請求書、領収書その他これらに類する書類(自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものは、当該写しを含む。)のうち、現金の収受若しくは払出し又は預貯金の預入若しくは引出しに際して作成されたものとする。

所得税法施行規則

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