所得税の暗号資産に関する取扱い


今回は、所得税の暗号資産に関する規定を確認します。

内容

簡単にまとめています。

所得区分
基本的には雑所得
事業的規模であれば事業所得
お金と似たようなものとして、譲渡所得には区分されません。

事業所得の損失であれば、損益通算可能。
雑所得の損失であれば、損益通算ができません。

評価方法
・総平均法(法定評価方法)
・移動平均法も選択できます。

暗号資産の取得
一時的に必要なこれらの暗号資産以外の暗号資産を取得する場合におけるその取得を含まない。
単価を操作する(される)ことを防止する意味なんでしょうか?

評価単位
種類ごと

評価方法の選定
確定申告期限までに

評価方法の変更
1、変更するときは、承認が必要です。
2、変更後の評価をしようとする年の3月15日までに申請書を提出する。
3、所得計算が不適正になる場合は、申請が却下される。
4、承認、却下は、書面通知あり。
5、その年12月31日までに連絡なければ、みなし承認あり。

税務署長の更正、決定
暗号資産を取得した人が評価方法のルールに従わなかった場合

例えば、
選択が総平均法、実際の計算が移動平均法
選択が移動平均法、実際の計算が総平均法

で、異なる計算方法であっても適正な計算であれば、
その計算で更正や決定できます。

計算方法が総平均法や移動平均法でない場合や
適正な計算と認められない場合は、きちんとした計算になるのでしょう。

国税庁情報

国税庁のサイトに詳しい情報があるので、申告前に確認しましょう。

暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和3年12月)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm

参考規定

(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)
第四十八条の二 居住者の暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する暗号資産をいう。以下この条において同じ。)につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する暗号資産の価額は、その者が暗号資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。
2 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他暗号資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。

所得税法

所得税法施行令
(暗号資産の評価の方法)
第百十九条の二 法第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)の規定によるその年十二月三十一日(同項の居住者が年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。第二号において同じ。)において有する同項に規定する暗号資産(以下この項において「期末暗号資産」という。)の評価額の計算上選定をすることができる評価の方法は、期末暗号資産につき次に掲げる方法のうちいずれかの方法によつてその取得価額を算出し、その算出した取得価額をもつて当該期末暗号資産の評価額とする方法とする。

 総平均法(暗号資産(法第四十八条の二第一項に規定する暗号資産をいう。以下この款において同じ。)をその種類の異なるごとに区別し、その種類の同じものについて、その年一月一日において有していた種類を同じくする暗号資産の取得価額の総額とその年中に取得をした種類を同じくする暗号資産の取得価額の総額との合計額をこれらの暗号資産の総数量で除して計算した価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。)

 移動平均法(暗号資産をその種類の異なるごとに区別し、その種類の同じものについて、当初の一単位当たりの取得価額が、再び種類を同じくする暗号資産の取得をした場合にはその取得の時において有する当該暗号資産とその取得をした暗号資産との数量及び取得価額を基礎として算出した平均単価によつて改定されたものとみなし、以後種類を同じくする暗号資産の取得をする都度同様の方法により一単位当たりの取得価額が改定されたものとみなし、その年十二月三十一日から最も近い日において改定されたものとみなされた一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額とする方法をいう。)

 前項各号に規定する取得には、暗号資産を購入し、若しくは売却し、又は種類の異なる暗号資産に交換しようとする際に一時的に必要なこれらの暗号資産以外の暗号資産を取得する場合におけるその取得を含まないものとする。

(暗号資産の評価の方法の選定)
第百十九条の三 暗号資産の評価の方法は、その種類ごとに選定しなければならない。

 居住者は、暗号資産の取得をした場合(その取得をした日の属する年の前年以前においてその暗号資産と種類を同じくする暗号資産につきこの項の規定による届出をすべき場合を除く。)には、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、その暗号資産と種類を同じくする暗号資産につき、前条第一項に規定する評価の方法のうちそのよるべき方法を書面により納税地の所轄税務署長に届け出なければならない。

 前条第二項の規定は、前項に規定する取得について準用する。

(暗号資産の評価の方法の変更手続)
第百十九条の四 居住者は、暗号資産につき選定した評価の方法(その評価の方法を届け出なかつた者がよるべきこととされている次条第一項に規定する評価の方法を含む。)を変更しようとする場合には、納税地の所轄税務署長の承認を受けなければならない。

 第百一条第二項から第五項まで(棚卸資産の評価の方法の変更手続)の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同条第三項中「事業所得の金額」とあるのは、「事業所得の金額又は雑所得の金額」と読み替えるものとする。

(暗号資産の法定評価方法)
第百十九条の五 法第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する政令で定める方法は、第百十九条の二第一項第一号(暗号資産の評価の方法)に掲げる総平均法により算出した取得価額による評価の方法とする。

 税務署長は、居住者が暗号資産につき選定した評価の方法(その評価の方法を届け出なかつた居住者がよるべきこととされている前項に規定する評価の方法を含む。以下この項において同じ。)により評価しなかつた場合において、その居住者が行つた評価の方法がその居住者の選定した評価の方法以外の第百十九条の二第一項に規定する評価の方法に該当し、かつ、その行つた評価の方法によつてもその居住者の各年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算を適正に行うことができると認めるときは、その行つた評価の方法により計算した各年分の事業所得の金額又は雑所得の金額を基礎として更正又は決定をすることができる。


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