今回は、療養や医療に関する消費税の非課税のうち、消費税法別表第2第6号ロからトまでを確認してみましょう。
療養費や医療費は、消費税が課されない。
病院等の治療費は、消費税が非課税です。非課税に関する規定は、同じ医療であっても、医療などに関する法律に分けて規定されているため、読みづらい部分がありますので注意しましょう。
今回確認する規定は、後半に掲載しています。
ロの規定
ロの規定を確認してみましょう。
高齢者の医療の確保に関する法律の規定に基づく
療養の給付
及び
・入院時食事療養費
・入院時生活療養費
・保険外併用療養費
・療養費
・特別療養費
の支給に係る療養
並びに
・訪問看護療養費
の支給に係る指定訪問看護
上記の取引は、消費税が非課税となります。
イの規定については、健康保険法などの規定が列挙されていますが、ロの規定については、高齢者の医療の確保に関する法律の1つだけです。
ロの規定には、イの規定と異なり次の2つの規定がありません。
・家族療養費の支給に係る療養
・家族訪問看護療養費の支給に係る指定訪問看護
健康保険法を確認してみましょう。
家族療養費
第百十条 被保険者の被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。
健康保険法第110条第1講、令和7年6月20日施行
家族訪問看護療養費
第百十一条 被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。
健康保険法第111条第1講、令和7年6月20日施行
被保険者(本人)の被扶養者(親、配偶者、子など)が療養や看護を受けたときは、被保険者(本人)に対して、家族療養費や家族訪問看護療養費が支給されます。
ハの規定
ハの規定を法律ごとに分けてみましょう。
「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」の規定に基づく
・医療
「生活保護法」の規定に基づく
・医療扶助のための医療の給付
・医療扶助のための金銭給付に係る医療
「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」の規定に基づく
・医療の給付
・医療費や一般疾病医療費の支給に係る医療
「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の規定に基づく
・自立支援医療費
・療養介護医療費
・基準該当療養介護医療費
の支給に係る医療
上記の取引は、消費税が非課税となります。
その他
ニの規定は、「公害健康被害の補償等に関する法律」の規定に基づく次の2つです。
・療養の給付
・療養費の支給に係る療養
ホの規定は、「労働者災害補償保険法」の規定に基づく次の2つです。
・療養の給付
・療養の費用の支給に係る療養
もう1つあります。
「労働者災害補償保険法」の規定による社会復帰促進等事業として行われる次の2つです。
・医療の措置
・医療に要する費用の支給に係る医療
ヘの規定は、「自動車損害賠償保障法」の規定による損害賠償額の支払を受けるべき被害者に対するその支払に係る療養です。
トの規定は、消費税法施行令を確認する必要があります。
上記の取引は、消費税が非課税となります。
消費税が課税される取引
上記に該当する取引であっても、財務大臣の定めるものについては、限度額を超える部分に消費税が課税されます。
財務大臣の定めるもの
財務省、税制関係の主な告示、告示名、消費税法別表第二第六号に規定する財務大臣の定める資産の譲渡等及び金額を定める件
【最終改正令和5年3月31日財務省告示第90号】
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/zeihou_kokuji.html#a6
対象となる取引は、次の3つです。
1、入院時食事療養
2、入院時生活療養
3、保険外併用療養費
参考規定
療養や医療に関する非課税
六 次に掲げる療養若しくは医療又はこれらに類するものとしての資産の譲渡等(これらのうち特別の病室の提供その他の財務大臣の定めるものにあつては、財務大臣の定める金額に相当する部分に限る。)
消費税法別表第2第6号、令和7年6月20施行
イ 省略
ロ 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定に基づく療養の給付及び入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費又は特別療養費の支給に係る療養並びに訪問看護療養費の支給に係る指定訪問看護
ハ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)の規定に基づく医療、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)の規定に基づく医療扶助のための医療の給付及び医療扶助のための金銭給付に係る医療、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)の規定に基づく医療の給付及び医療費又は一般疾病医療費の支給に係る医療並びに障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)の規定に基づく自立支援医療費、療養介護医療費又は基準該当療養介護医療費の支給に係る医療
ニ 公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号)の規定に基づく療養の給付及び療養費の支給に係る療養
ホ 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定に基づく療養の給付及び療養の費用の支給に係る療養並びに同法の規定による社会復帰促進等事業として行われる医療の措置及び医療に要する費用の支給に係る医療
ヘ 自動車損害賠償保障法(昭和三十年法律第九十七号)の規定による損害賠償額の支払(同法第七十二条第一項第一号及び第二号(業務)の規定による損害を塡補するための支払を含む。)を受けるべき被害者に対する当該支払に係る療養
ト イからヘまでに掲げる療養又は医療に類するものとして政令で定めるもの
イは、健康保険法などに関する取引の非課税が規定されています。
六 次に掲げる療養若しくは医療又はこれらに類するものとしての資産の譲渡等(これらのうち特別の病室の提供その他の財務大臣の定めるものにあつては、財務大臣の定める金額に相当する部分に限る。)
次に掲げる
・療養や医療
・療養や医療に類するもの
としての資産の譲渡等(資産の売却、資産の貸付け、サービスの提供)が非課税の要件です。
カッコ書きで、財務大臣の定めるものについては、財務大臣の定める金額に限定されています。超える金額については、課税されます。