介護保険サービスの消費税の非課税


今回は、介護保険サービスに関する消費税の非課税を確認してみましょう。

介護保険サービス

介護保険サービスについては、消費税が非課税となります。
先に規定を確認してみましょう。

七 次に掲げる資産の譲渡等(前号の規定に該当するものを除く。)
イ 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護その他の政令で定めるものに限る。)、施設介護サービス費の支給に係る施設サービス(政令で定めるものを除く。)その他これらに類するものとして政令で定めるもの

消費税法別表第2第7号、令和7年6月20日施行

カッコ書きの「前号の規定に該当するもの」は、第6号の療養や医療などに関する非課税取引を指します。療養や医療などで非課税となるものは、介護保険サービスなどの非課税に該当しなくなります。

イは、3つ規定されています。

1、介護保険法の規定に基づく居宅介護サービス費の支給に係る居宅サービス(訪問介護、訪問入浴介護その他の政令で定めるものに限る。)

2、介護保険法の規定に基づく施設介護サービス費の支給に係る施設サービス(政令で定めるものを除く。)

3、その他これらに類するものとして政令で定めるもの
(介護保険法以外の法令も含まれます。)

1の居宅サービスについては、カッコ書きで政令(消費税法施行令)で定めるものに限られるため、消費税法施行令を確認する必要があります。

2の施設サービスについては、カッコ書きで政令(消費税法施行令)で定めるものが非課税から除外されるため、注意しましょう。

3は、「その他」これらに類するものとして政令で定めるもの、とありますので、1や2とは別に消費税法施行令に非課税が規定されています。

居宅サービスの非課税

居宅サービスの非課税は、消費税法施行令に規定されていますので確認してみましょう。

(居宅サービスの範囲等)
第十四条の二 法別表第二第七号イに規定する政令で定める居宅サービスは、介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二項から第十一項まで(定義)に規定する訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護及び特定施設入居者生活介護(第三項第一号及び第十三号において「訪問介護等」といい、特別の居室の提供その他の財務大臣が指定する資産の譲渡等を除く。)とする。

消費税法施行令第14条の2第1項、令和7年6月1日施行

介護保険法第8条第2項から第11項までに規定する
・第2項、訪問介護
・第3項、訪問入浴介護
・第4項、訪問看護
・第5項、訪問リハビリテーション
・第6項、居宅療養管理指導
・第7項、通所介護
・第8項、通所リハビリテーション
・第9項、短期入所生活介護
・第10項、短期入所療養介護
・第11項、特定施設入居者生活介護

が消費税の非課税となります。

ただし、財務大臣が指定する取引については、非課税から除外されるため消費税が課税されます。

参考リンク、財務省、税制関係の主な告示、消費税法施行令第十四条の二第一項、第二項及び第三項の規定に基づき、消費税法施行令第十四条の二第一項、第二項及び第三項に規定する財務大臣が指定する資産の譲渡等を定める件
【最終改正令和6年3月30日財務省告示第93号】
https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/zeihou_kokuji.html#a6

第6項の居宅療養管理指導以外の9個については、財務大臣の指定取引(例、特別な居室の提供、特別な食事の提供、送迎など)が規定されています。

課税される施設サービス

施設サービスについては、消費税法施行令に規定されているものに限り、消費税が課税されます。規定を確認してみましょう。

2 法別表第二第七号イに規定する政令で定める施設サービスは、特別の居室の提供その他の財務大臣が指定する資産の譲渡等とする。

消費税法施行令第14条の2第2項、令和7年6月1日施行

施設サービスの財務大臣の指定取引については、先ほど確認した告示と同じところに規定されています。全部で3つです。

1、介護福祉施設サービス(介護保険法第8条第27項)
2、介護保健施設サービス(介護保険法第8条第28項)
3、介護医療病院サービス(介護保険法第8条第29項)

特別な居室や療養室の提供、特別な食事提供は、消費税が課税されます。

参考情報

介護保険法、居宅介護サービス費の支給

第四十一条 市町村は、要介護認定を受けた被保険者(以下「要介護被保険者」という。)のうち居宅において介護を受けるもの(以下「居宅要介護被保険者」という。)が、都道府県知事が指定する者(以下「指定居宅サービス事業者」という。)から当該指定に係る居宅サービス事業を行う事業所により行われる居宅サービス(以下「指定居宅サービス」という。)を受けたときは、当該居宅要介護被保険者に対し、当該指定居宅サービスに要した費用(特定福祉用具の購入に要した費用を除き、通所介護、通所リハビリテーション、短期入所生活介護、短期入所療養介護及び特定施設入居者生活介護に要した費用については、食事の提供に要する費用、滞在に要する費用その他の日常生活に要する費用として厚生労働省令で定める費用を除く。以下この条において同じ。)について、居宅介護サービス費を支給する。ただし、当該居宅要介護被保険者が、第三十七条第一項の規定による指定を受けている場合において、当該指定に係る種類以外の居宅サービスを受けたときは、この限りでない。

介護保険法第41条第1項、令和7年6月1日施行

介護保険法第8条第26項

26 この法律において「施設サービス」とは、介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス及び介護医療院サービスをいい、「施設サービス計画」とは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設又は介護医療院に入所している要介護者について、これらの施設が提供するサービスの内容、これを担当する者その他厚生労働省令で定める事項を定めた計画をいう。

介護保険法第8条第26項、令和7年6月1日施行

施設サービス
・介護福祉施設サービス
・介護保健施設サービス
・介護医療院サービス

介護保険法第8条第27項

27 この法律において「介護老人福祉施設」とは、老人福祉法第二十条の五に規定する特別養護老人ホーム(入所定員が三十人以上であるものに限る。以下この項において同じ。)であって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話を行うことを目的とする施設をいい、「介護福祉施設サービス」とは、介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話をいう。

介護保険法第8条第27項、令和7年6月1日施行

介護福祉施設サービスの定義

介護老人福祉施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話

介護保険法第8条第28項

28 この法律において「介護老人保健施設」とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第九十四条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護保健施設サービス」とは、介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。

介護保険法第8条第28項、令和7年6月1日施行

介護保健施設サービスの定義

介護老人保健施設に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話

介護保険法第8条第29項

29 この法律において「介護医療院」とは、要介護者であって、主として長期にわたり療養が必要である者(その治療の必要の程度につき厚生労働省令で定めるものに限る。以下この項において単に「要介護者」という。)に対し、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設として、第百七条第一項の都道府県知事の許可を受けたものをいい、「介護医療院サービス」とは、介護医療院に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話をいう。

介護保険法第8条第29項、令和7年6月1日施行

介護医療院サービスの定義

介護医療院に入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて行われる療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話


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