今回は、社会福祉事業などに類する取引の消費税の非課税を確認してみましょう。
消費税法の非課税は、3つ
消費税法で規定されている非課税は、次の3つです。
イ、介護保険などに関するサービス
ロ、社会福祉などに関するサービス
ハ、社会福祉などに関するサービスに類するサービス
ハの取引については、
ロに掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの
と規定されているため、消費税法施行令を確認してみましょう。
産後ケア事業
消費税法施行令で規定されている消費税の非課税は、全部で8つです。
7つ目は、産後ケア事業です。
七 母子保健法第十七条の二第一項(産後ケア事業)に規定する産後ケア事業として行われる資産の譲渡等(法別表第二第八号に掲げるものを除く。)
消費税法施行令第14条の3第7号、令和7年4月1日施行
母子保健法第17条の2第1項を確認してみましょう。
(産後ケア事業)
母子健康法第17条の2第1項、令和6年9月19日施行
第十七条の二 市町村は、出産後一年を経過しない女子及び乳児の心身の状態に応じた保健指導、療養に伴う世話又は育児に関する指導、相談その他の援助(以下この項において「産後ケア」という。)を必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児につき、次の各号のいずれかに掲げる事業(以下この条及び第十九条の二第一項において「産後ケア事業」という。)を行うよう努めなければならない。
一 病院、診療所、助産所その他内閣府令で定める施設であつて、産後ケアを行うもの(次号において「産後ケアセンター」という。)に産後ケアを必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児を短期間入所させ、産後ケアを行う事業
二 産後ケアセンターその他の内閣府令で定める施設に産後ケアを必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児を通わせ、産後ケアを行う事業
三 産後ケアを必要とする出産後一年を経過しない女子及び乳児の居宅を訪問し、産後ケアを行う事業
市町村は、産後ケアを必要とする人に産後ケア事業を行うように努める必要があります。
上記の産後ケア事業は消費税の非課税となりますが、助産関係の取引(消費税法別表第2第8号)については、非課税規定が別にあるため、産後ケア事業の非課税から除外されます。
消費税法別表第2第8号
八 医師、助産師その他医療に関する施設の開設者による助産に係る資産の譲渡等(第六号並びに前号イ及びロの規定に該当するものを除く。)
消費税法別表第2第8号、令和7年6月20日施行
質疑応答事例、産後ケア事業を一部委託した場合の消費税の取扱い
国税庁の質疑応答事例を確認してみましょう。
国税庁、質疑応答事例、消費税、
産後ケア事業を一部委託した場合の消費税の取扱い
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/25/06.htm
1、市は、医療法人(当社)に産後ケア事業を委託する。
2、当社は、産後ケア事業の一部(例、洗濯業務)をA社に委託する。
上記の場合
1の委託料は、産後ケア事業の非課税に該当するため非課税となります。
2の洗濯業務の委託料は、産後ケア事業の一部であって産後ケア事業とは言えないため、消費税が課税されます。