インボイス制度の15日ルールと国税通則法の関係


今回は、インボイス制度の15日ルールと国税通則法の関係を確認してみましょう。

インボイス発行事業者になる場合

インボイス発行事業者になる場合の規定を確認してみましょう。

2 前項の登録を受けようとする事業者は、財務省令で定める事項を記載した申請書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。この場合において、第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者が、同項本文の規定の適用を受けないこととなる課税期間の初日から前項の登録を受けようとするときは、政令で定める日までに、当該申請書を当該税務署長に提出しなければならない。

消費税法第57条の2第2項、令和7年6月20日施行

免税事業者が、
・課税期間(計算期間)の初日
からインボイス発行事業者の登録を受けようとするときは、

・政令に定める日
までにインボイスの登録申請書を税務署(税務署長)に提出する必要があります。

政令に定める日を確認してみましょう。

(適格請求書発行事業者の登録申請書の提出期限)
第七十条の二 法第五十七条の二第二項に規定する政令で定める日は、同項に規定する課税期間の初日から起算して十五日前の日とする。

消費税法施行令第70条の2第1項、令和7年4月1日施行

・課税期間の初日
から起算して15日前の日です。

課税期間の初日が1/1の場合、15日前の日は、12/17となります。
12/17が日曜日の場合は、翌日の12/18が提出期限となります。

参考リンク、国税庁
インボイス発行事業者の登録・取消しに係る手続の日数の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023007-071.pdf

インボイス発行事業者をやめる場合

インボイス発行事業者をやめる場合の規定を確認してみましょう。

10 適格請求書発行事業者が、次の各号に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号に定める日に、第一項の登録は、その効力を失う。
一 当該適格請求書発行事業者が第一項の登録の取消しを求める旨の届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合 その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日(その提出が政令で定める日の翌日から当該課税期間の末日までの間にされた場合には、当該課税期間の翌課税期間の末日の翌日)

消費税法第57条の2第10項、令和7年6月20日施行

原則として、「インボイス発行事業者をやめる旨の届出書」を提出した課税期間の次の課税期間から、インボイス発行事業者をやめることが可能です。

カッコ書きが例外です。

「インボイス発行事業者をやめる旨の届出書」の提出が
・政令で定める日の翌日から
・課税期間の末日まで
の間にされた場合は、課税期間の次の課税期間の末日の翌日に変わります。

次の課税期間ではなく、翌々課税期間からインボイス発行事業者をやめることができます。次の課税期間からやめることができません。

政令で定める日を確認してみましょう。

3 法第五十七条の二第十項第一号に規定する政令で定める日は、同号の届出書の提出があつた日の属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して十五日前の日とする。

消費税法施行令第70条の5第3項、令和7年4月1日施行

・「インボイス発行事業者をやめる旨の届出書」を提出した課税期間の次の課税期間の初日
から起算して15日前の日です。

次の課税期間の初日が1/1の場合、15日前の日は、12/17となります。12/17が日曜日の場合であっても、提出期限は延長されないため注意しましょう。

気になっていた点

登録申請書の規定は、「政令で定める日までに」と期限があるため、土曜日や日曜日の場合に期限が延長されます。

登録取消届出書の規定は、「その提出が政令で定める日の翌日から当該課税期間の末日まで」とあり、政令で定める日は期限でないため、土曜日や日曜日であったとしても延長はありません。

登録申請書の期限が延長されるとしても、翌日に延長される理由が気になっていました。

民法第142条に、翌日となる規定があります。

第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

民法第142条第2項、令和7年6月6日施行

「期間は、その翌日に満了する。」とあります。

期間を過去から現在、現在から未来に計算する場合は、翌日。反対に遡及計算する場合は、前日だと理解していましたが、少し違っていて、場合分けが必要となります。

基本通達に公表されています。

参考リンク、国税庁、国税通則法基本通達(徴収部関係)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/01/03/10.htm#a-01

(前に遡る期間の末日が休日の場合)
5 前に遡る期間の末日が期限とされる場合において、その日が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、その他一般の休日又は土曜日若しくは12月29日、同月30日若しくは同月31日(以下第10条関係において「休日」という。)に当たるときは、その休日の翌日をその期限として取り扱う。ただし、税務官庁のすべき行為にあっては、その前日までにすることに取り扱う。

原則は、翌日です。例外は、税務官庁のすべき行為については前日です。

インボイス発行事業者の登録申請は、原則なので翌日となります。

メモ書き

期間計算の規定は、国税に関する法律だけではなく、国税に関する政令や省令も含まれます。

インボイス発行事業者をやめる場合の15日ルールが、消費税法から消費税法施行令に変わったのは、何か関係あるのかなと思っていましたが、関係なかったのでしょう。

国税通則法には、国税に関する「法律」とありますが、国税通則法基本通達(徴収部関係)で

(国税に関する法令に定める期間)
1 法第10条第1項の「期間」には、国税に関する政令及び省令により定められている期間が含まれる。

とあり、政令や省令も含まれるからです。

PAGE TOP