今回は、移転価格税制の規定を読んでみましょう。
内容
今回確認する規定は、こちら↓です。
(国外関連者との取引に係る課税の特例)
租税特別措置法第66条の4第1項、令和7年10月1日
第六十六条の四 法人が、昭和六十一年四月一日以後に開始する各事業年度において、当該法人に係る国外関連者(外国法人で、当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資(当該他方の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係(次項、第五項及び第十項において「特殊の関係」という。)のあるものをいう。以下この条において同じ。)との間で資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引を行つた場合に、当該取引(当該国外関連者が恒久的施設を有する外国法人である場合には、当該国外関連者の法人税法第百四十一条第一号イに掲げる国内源泉所得に係る取引として政令で定めるものを除く。以下この条において「国外関連取引」という。)につき、当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは、当該法人の当該事業年度の所得に係る同法その他法人税に関する法令の規定の適用については、当該国外関連取引は、独立企業間価格で行われたものとみなす。
規定が長いのでカッコ書きを省略してみましょう。
第六十六条の四 法人が、昭和六十一年四月一日以後に開始する各事業年度において、当該法人に係る国外関連者(注1)との間で資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引を行つた場合に、当該取引(注2)につき、当該法人が当該国外関連者から支払を受ける対価の額が独立企業間価格に満たないとき、又は当該法人が当該国外関連者に支払う対価の額が独立企業間価格を超えるときは、当該法人の当該事業年度の所得に係る同法その他法人税に関する法令の規定の適用については、当該国外関連取引は、独立企業間価格で行われたものとみなす。
法人が
・国外関連者と
・取引(例、資産の販売、資産の購入、役務の提供)を行った場合
が1つ目の要件です。
取引(国外関連取引)につき、その法人が
・国外関連者から受け取る対価の額<独立企業間価格(損している)
・国外関連者に支払う対価の額>独立企業間価格(得している)
が2つ目の要件です。
要件を満たした場合、法人税の計算上、国外関連取引を独立企業間価格で取引したものとして取扱う必要があります。
(独立企業間価格の定義は、別の規定にあります。)
取引価格が独立企業間価格より高くても安くても、独立企業間価格に修正して法人税が計算される規定で、価格(利益)操作を防止する目的があります。
国外関連者
1つ目のカッコ書きに国外関連者が定義されています。
外国法人で、当該法人との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式又は出資(当該他方の法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十以上の数又は金額の株式又は出資を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める特殊の関係(次項、第五項及び第十項において「特殊の関係」という。)のあるものをいう。以下この条において同じ。
外国法人で「特殊の関係」のあるものを「国外関連者」といいます。政令で定める特殊の関係の前に「その他の」がありますので、「その他の」の前にある規定は例示です。
例示の内容は、
発行済株式等の50%以上の
・数や金額の
・株式や出資を
・直接や間接に
保有する関係です。
国外関連者の判定は、自己の株式などを除外します。
考え方
数字を使って考え方を確認してみましょう。
例1、安く売る場合(損する場合)
・実際の売却金額 40
・独立企業間価格 100
考え方
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 40 | 売上(独立企業間価格) 100 |
差額 60 | – |
実際の売却金額(40)ではなく、独立企業間価格(100)で取引したものとして法人税を計算します。
例2、高く売る場合(得する場合)
・実際の売却金額 100
・独立企業間価格 40
考え方
借方 | 貸方 |
---|---|
現預金 100 | 売上(独立企業間価格) 40 |
– | 差額 60 |
実際の売却金額(100)ではなく、独立企業間価格(40)で取引したものとして法人税を計算します。
例3、安く買う場合(得する場合)
・実際の購入金額 40
・独立企業間価格 100
考え方
借方 | 貸方 |
---|---|
仕入(独立企業間価格) 100 | 現預金 40 |
– | 差額 60 |
実際の購入金額(40)ではなく、独立企業間価格(100)で取引したものとして法人税を計算します。
例4、高く買う場合(損する場合)
・実際の購入金額 100
・独立企業間価格 40
考え方
借方 | 貸方 |
---|---|
仕入(独立企業間価格) 40 | 現預金 100 |
差額 60 | – |
実際の購入金額(100)ではなく、独立企業間価格(40)で取引したものとして法人税を計算します。
各取引の差額の取扱いは、別の規定で定められています。
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