資本の払戻し等があった場合の資本金等の額


今回は、資本の払戻し等があった場合の資本金等の額を確認してみましょう。

資本の払戻し等

長い規定のため、参考情報に載せています。

カッコ書きを外してみましょう。

十八 資本の払戻し等(注1)に係る減資資本金額(注2)
イ ロに掲げる場合以外の場合 当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(注3)を乗じて計算した金額(注4)
(1) 当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(注5)終了の時の資産の帳簿価額から負債(注6)の帳簿価額を減算した金額(注7)
(2) 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(注8)の合計額(注9)

計算方法は、2つあります。
・種類株式を発行していない場合は、イ
・種類株式を発行している場合は、ロ
の規定を使います。
(今回は、イを確認します。)

資本の払戻し等(注1)について

法人税法第24条1項第4号に規定する資本の払戻し(みなし配当を認識する資本の払戻し)から出資等減少分配(投資信託関係の規定)を除外したものを「資本の払戻し」と定義しています。

・資本の払戻し
・解散による残余財産の一部の分配
上記2つを併せて「資本の払戻し等」といいます。

減資資本金額(注2)のカッコ書きを見てみましょう。

減資資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)

次に掲げる場合は、イとロを指します。

イの金額(2,000)が

資本の払戻し等により交付した
・金銭の額
・金銭以外の資産の価額(注)
の合計額(1,500)

を超える場合(2,000>1,500)には、
その超える部分の金額(2,000‐1,500=500)を減算します。

イの金額(2,000)-超える部分の金額(500)=減資資本金額(1,500)

減資資本金額

種類株式がない場合の規定を確認してみましょう。

イ ロに掲げる場合以外の場合 当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(注3)を乗じて計算した金額(注4)

算式に変えます。

当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額×
(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(注3)を乗じて計算した金額(注4)

減資資本金額
=資本金等の額×(2)の金額÷(1)の金額

(1)の金額、分母の計算

(1)の金額(分母の計算)を確認してみましょう。

(1) 当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(注5)終了の時の資産の帳簿価額から負債(注6)の帳簿価額を減算した金額(注7)

(1)の金額は、前事業年度が終了した時の
1、資産の帳簿価額 90,000
2、負債の帳簿価額 10,000
3、(1)の金額(分母) 1-2=80,000
となります。

(2)の金額、分子の計算

(2)の金額(分子の計算)を確認してみましょう。

(2) 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(注8)の合計額(注9)

・資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額
・解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額と金銭以外の資産の価額の合計額
(資本の払戻しと残余財産の分配で使用する金額が異なります。)

計算例
・直前の資本金等の額 50,000
・減少した資本剰余金の額 20,000
・(1)の金額 80,000

資本金等の額(50,000)×(2)の金額(20,000)÷(1)の金額(80,000)
=減資資本金額(12,500)

参考情報

今回確認した規定は、こちら↓です。

十八 資本の払戻し等(法第二十四条第一項第四号に規定する資本の払戻し(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配を除く。以下この号において「資本の払戻し」という。)及び解散による残余財産の一部の分配をいう。以下この号において同じ。)に係る減資資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イ ロに掲げる場合以外の場合 当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、(1)に掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該資本の払戻し等が資本の払戻しである場合において、当該計算した金額が当該資本の払戻し等により減少した資本剰余金の額を超えるときは、その超える部分の金額を控除した金額)
(1) 当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(当該資本の払戻し等の日以前六月以内に法第七十二条第一項に規定する期間について同項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該資本の払戻し等の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該資本の払戻し等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
(2) 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額(当該減少した資本剰余金の額又は当該合計額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(1)に掲げる金額)

法人税法施行令第8条第18号、令和7年4月1日施行
PAGE TOP