資本の払戻し等があった場合の資本金等の額_その2


今回は、資本の払戻し等があった場合の資本金等の額のカッコ書きを確認してみましょう。

割合のルール

資本の払戻し等があった場合は、減資資本金額が資本金等の額の減算額となります。

参考リンク
資本の払戻し等があった場合の資本金等の額

今回はカッコ書きの内容を確認したいと思います。
(規定は、後半の参考情報に載せています。)

割合(注3)のカッコ書きを確認してみましょう。

割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、(1)に掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)

1つ目

資本金等の額≦0の場合は、割合が0になります。

2つ目

・資本金等の額>0
・(1)の金額(分母)≦0
の場合は、割合が100%になります。

3つ目

計算した割合が小数点以下3位未満の端数があるときは、切り上げます。
例 0.2546321 → 0.255

計算した金額

計算した金額(注4)のカッコ書きを確認してみましょう。

計算した金額(当該資本の払戻し等が資本の払戻しである場合において、当該計算した金額が当該資本の払戻し等により減少した資本剰余金の額を超えるときは、その超える部分の金額を控除した金額)

資本の払戻し等が資本の払戻しの場合に限ります。
(残余財産の一部分配については、関係ありません。)

計算した金額(3,000)>減少した資本剰余金の額(2,000)の場合は、
超える部分の金額(3,000‐2,000=1,000)を控除します。

減資資本金額のカッコ書きにも、似た規定があります。

減資資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)

こちらの場合は、種類株式の場合(ロの計算)と残余財産の一部分配の場合も考慮されています。

前事業年度

前事業年度(注5)のカッコ書きを確認してみましょう。

前事業年度(当該資本の払戻し等の日以前六月以内に法第七十二条第一項に規定する期間について同項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該資本の払戻し等の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)

1つ目

資本の払戻し等の日以前6月以内に
仮決算による中間申告書を「提出」することが1つ目の要件です。

2つ目

・提出した日から
・資本の払戻し等の日まで
の間に確定申告書を提出していなかつた場合が2つ目の要件です。

要件を満たした場合、前事業年度が終了した時ではなく、
仮決算による中間申告書の計算期間が終了した時が、
純資産価額の計算基準となります。

負債

負債(注6)のカッコ書きを確認してみましょう。

負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)

株式引受権は、会社計算規則に規定されています。

減算した金額

減算した金額(注7)のカッコ書きを確認してみましょう。

減算した金額(当該終了の時から当該資本の払戻し等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)

前事業年度が終了した時から
資本の払戻し等の直前までの間に
・資本金等の額
・利益積立金額(一定の金額は除外)
が変動した場合は、変動した後の金額で計算します。

一定の金額は、
・第9条(利益積立金額)第1号の金額
・第9条(利益積立金額)第6号の金額
の2つです。

第1号は、一般的な利益積立金額の増減を計算する規定です。
第6号は、通算法人が他の通算法人の株式を有する場合の規定です。

この取扱いは、分割法人の資本金等の額の計算にもあります。

資産の価額

資産の価額(注8)のカッコ書きを確認してみましょう。

資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)

金銭以外の資産については、原則として時価で計算しますが、適格現物分配(金銭以外の資産を交付するもので適格要件を満たすもの)については、帳簿価額で計算します。

減資資本金額のカッコ書きにも同様の取扱いがあります。

合計額

合計額(注9)のカッコ書きを確認してみましょう。

合計額(当該減少した資本剰余金の額又は当該合計額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(1)に掲げる金額)

・減少した資本剰余金の額
・合計額
が(1)の金額(分母、純資産価額)を超える場合は、
(1)の金額に変わります。

計算イメージ

           (2)の金額 1,000 → (1)の金額 800
減少割合(100%) = –
           (1)の金額 800

参考情報

今回確認した規定は、こちら↓です。

十八 資本の払戻し等(法第二十四条第一項第四号に規定する資本の払戻し(法第二十三条第一項第二号に規定する出資等減少分配を除く。以下この号において「資本の払戻し」という。)及び解散による残余財産の一部の分配をいう。以下この号において同じ。)に係る減資資本金額(次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいい、当該金額が当該資本の払戻し等により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額を超える場合には、その超える部分の金額を減算した金額とする。)
イ ロに掲げる場合以外の場合 当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(当該直前の資本金等の額が零以下である場合には零と、当該直前の資本金等の額が零を超え、かつ、(1)に掲げる金額が零以下である場合には一とし、当該割合に小数点以下三位未満の端数があるときはこれを切り上げる。)を乗じて計算した金額(当該資本の払戻し等が資本の払戻しである場合において、当該計算した金額が当該資本の払戻し等により減少した資本剰余金の額を超えるときは、その超える部分の金額を控除した金額)
(1) 当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(当該資本の払戻し等の日以前六月以内に法第七十二条第一項に規定する期間について同項各号に掲げる事項を記載した中間申告書を提出し、かつ、その提出した日から当該資本の払戻し等の日までの間に確定申告書を提出していなかつた場合には、当該中間申告書に係る同項に規定する期間)終了の時の資産の帳簿価額から負債(新株予約権及び株式引受権に係る義務を含む。)の帳簿価額を減算した金額(当該終了の時から当該資本の払戻し等の直前の時までの間に資本金等の額又は利益積立金額(次条第一号及び第六号に掲げる金額を除く。)が増加し、又は減少した場合には、その増加した金額を加算し、又はその減少した金額を減算した金額)
(2) 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、その交付の直前の帳簿価額)の合計額(当該減少した資本剰余金の額又は当該合計額が(1)に掲げる金額を超える場合には、(1)に掲げる金額)

法人税法施行令第8条第18号、令和7年4月1日施行

カッコ書きを外したもの

十八 資本の払戻し等(注1)に係る減資資本金額(注2)
イ ロに掲げる場合以外の場合 当該資本の払戻し等の直前の資本金等の額に(1)に掲げる金額のうちに(2)に掲げる金額の占める割合(注3)を乗じて計算した金額(注4)
(1) 当該資本の払戻し等の日の属する事業年度の前事業年度(注5)終了の時の資産の帳簿価額から負債(注6)の帳簿価額を減算した金額(注7)
(2) 当該資本の払戻しにより減少した資本剰余金の額又は当該解散による残余財産の一部の分配により交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額(注8)の合計額(注9)

PAGE TOP