今回は、退職所得控除額の計算の特例(重複部分の控除)と
特定役員退職があった場合を確認します。
前回の短期退職があった場合の特定役員退職版です。
内容
規定の内容は短期退職と似ていますので、
今回は規定の関係を確認します。
2種類以上の退職金がある場合の計算規定(所得税法施行令71条の2)を
並べてみると
- 一般退職手当等と短期退職手当等(11項)がある場合の計算
- 短期勤続年数の定義と重複勤続年数の定義
- 一般退職手当等と特定役員退職手当等(12項)がある場合の計算
- 特定役員等勤続年数と重複勤続年数の定義
- 短期退職手当等と特定役員退職手当等(12項)がある場合の計算
- 重複勤続年数の定義
- 一般退職手当等、短期退職手当等(11項)、特定退職手当等(12項)がある場合の計算
- 重複勤続年数と全重複期間の定義
短期退職所得控除額の修正(11項)の計算対象は、1項と7項
特定役員退職所得控除額の修正(12項)の計算対象は、3項、5項、7項
となります。
極端な例を線表で考えてみます。
A一般 ———-————————-———退職金
B短期 ———-————退職金 ———退職金←11項で調整
C特定 ———-退職金 ———退職金←12項で調整
3種類の退職金がある場合(7項)は、
B短期の重複部分は11項で調整、
C特定の重複部分は12項で調整されるのでしょう。
重複勤続年数と全重複期間
3種類の退職金がある場合(7項)は、上記の図の
色付き部分が全重複期間
(特定AND短期AND一般、3つとも重なる期間)、
下線部分が8項の重複勤続年数
(特定OR短期OR一般、いずれか2つが重なる期間で計算した年数)
となります。
言葉の並びは同じですが
「又は」と「及び」で意味が異なるため要注意です。
重複勤続年数=特定役員等勤続期間、短期勤続期間又は一般勤続期間
全重複期間 =特定役員等勤続期間、短期勤続期間及び一般勤続期間
ここでも年数と期間できちんと分けられています。
参考規定など
8 前項に規定する重複勤続年数とは、特定役員等勤続期間、短期勤続期間又は一般勤続期間が重複している期間により計算した年数をいい、同項に規定する全重複期間とは、特定役員等勤続期間、短期勤続期間及び一般勤続期間が重複している期間をいう。
12 法第三十条第六項(第一号に係る部分に限る。)の規定の適用があり、かつ、次の各号に掲げる場合に該当するときの第三項第一号、第五項第一号又は第七項第一号に規定する特定役員退職所得控除額は、第三項第一号、第五項第一号又は第七項第一号の合計額から当該各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除した金額とする。
一 第七十条第一項第一号に規定する前に支払を受けた退職手当等の全部又は一部が特定役員退職手当等に該当する場合 特定役員等勤続期間のうち当該前に支払を受けた退職手当等(特定役員退職手当等に該当するものに限る。)に係る期間を基礎として同号の規定により計算した金額
二 特定役員等勤続期間の全部又は一部が第七十条第一項第二号に規定する前の勤続期間等と重複している場合 その重複している期間を基礎として同号の規定により計算した金額
所得税法施行令71条の2