今回は、分割型分割があった場合の分割法人の利益積立金額を確認してみましょう。
適格要件を満たさない分割型分割
規定を見てみましょう。
九 分割型分割(適格分割型分割を除く。)に係る分割法人が当該分割型分割により当該分割法人の株主等に交付した金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額(法第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する特定分割型分割にあつては、同項後段の規定により当該特定分割型分割に係る分割法人が当該分割法人の株主等に交付したものとされる同項に規定する分割対価資産又は分割承継法人の株式若しくは出資の価額)から前条第一項第十五号に掲げる金額を減算した金額
法人税法施行令第9条第9号、令和7年4月1日施行
分割は、
1、分割型の分割
2、分社型の分割
の2つがあります。
また、
3、適格要件を満たす分割
4、適格要件を満たさない分割
の2つがあります。
「分割型分割(適格分割型分割を除く。)」とあるため、
上記1と4の分割(適格要件を満たさない分割型分割)が対象です。
「分割法人が」とあるため、
分割により資産や負債を分割承継法人に渡す法人の規定です。
続きの規定のカッコ書きを省略してみましょう。
分割型分割により分割法人の株主等に交付した
A、
・金銭の額(お金)
・金銭以外の資産(お金以外の資産)の価額
の合計額(省略)から
B、前条(第8条)第1項第15号に掲げる金額を減算した金額
上記の金額が利益積立金額の減算額となります。
第8条第1項は、資本金等の額の減算額を計算する規定です。
第15号は、分割型分割があった場合の分割法人に関する規定です。
計算イメージ
1、分割法人の株主等に渡した資産の金額
20,000
2、分割法人の資本金等の額の減算額(第8条第1項第15号)
15,000
3、利益積立金額の減算額(第9条第9号)
1-2=5,000
仕訳イメージ
負債 5,000 / 資産 25,000
現預金 20,000 /
資本金等の額 15,000 / 現預金 20,000
利益積立金額 5,000 /
利益積立金額の減算額は差額で求めるため、
先に資本金等の額の減算額を計算する必要があります。
適格要件を満たす分割型分割
規定を見てみましょう。
十 当該法人を分割法人とする適格分割型分割により当該適格分割型分割に係る分割承継法人に移転をした資産の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額から当該適格分割型分割により当該分割承継法人に移転をした負債の当該直前の帳簿価額及び当該適格分割型分割に係る前条第一項第十五号に掲げる金額の合計額を減算した金額
法人税法施行令第9条第10号、令和7年4月1日施行
「分割法人とする適格分割型分割により」とあるため、
上記1と3の分割(適格要件を満たす分割型分割)が対象です。
続きの規定を算式に変えてみましょう。
A、当該適格分割型分割に係る分割承継法人に移転をした資産の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額から
B、当該適格分割型分割により当該分割承継法人に移転をした負債の当該直前の帳簿価額及び当該適格分割型分割に係る前条第一項第十五号に掲げる金額の合計額を減算した金額 A-B
A、移転資産の直前の帳簿価額
10,000
B、移転負債の直前の帳簿価額+第8条第1項第15号の金額
2,000+7,000=9,000
C、利益積立金額の減算額
A-B=1,000
仕訳イメージ
負債 2,000 / 資産 10,000
現預金 8,000 /
資本金等の額 7,000 / 現預金 8,000
利益積立金額 1,000 /
利益積立金額の減算額は差額で求めるため、
先に資本金等の額の減算額を計算する必要があります。
参考情報
適格要件を満たさない分割型分割の
合計額のカッコ書きを見てみましょう。
合計額(法第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)に規定する特定分割型分割にあつては、同項後段の規定により当該特定分割型分割に係る分割法人が当該分割法人の株主等に交付したものとされる同項に規定する分割対価資産又は分割承継法人の株式若しくは出資の価額)特定分割型分割にあつては、
同項(第62条第1項)後段の規定により
特定分割型分割に係る分割法人が
分割法人の株主等に交付したものとされる
同項(第62条第1項)に規定する
・分割対価資産
又は
・分割承継法人の株式(出資)の価額
に変わります。
合併の場合は、税金の計算上、
・合併法人 → 被合併法人 → 株主等
の順に資産が動いたと仮定して、
資本金等の額や利益積立金額の変動を計算します。
分割型分割の場合は、
・分割承継法人 → 分割法人 → 株主等
の順に資産が動きますが、
一定の分割型分割(特定分割型分割)については、
上記の順に資産が動きません。
上記の順に資産は動きませんが、税金の計算上、
上記の順に資産が動いたと仮定して、
資本金等の額や利益積立金額の変動を計算します。
そのため、「分割法人の株主等に交付したものとされる」と規定されています。
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