今回は、株式を発行した場合の資本金等の額を確認してみましょう。
目次
株式を発行した場合
今回確認する規定は、こちらです。
一 株式(出資を含む。以下第十号までにおいて同じ。)の発行又は自己の株式の譲渡をした場合(次に掲げる場合を除く。)に払い込まれた金銭の額及び給付を受けた金銭以外の資産の価額その他の対価の額に相当する金額からその発行により増加した資本金の額又は出資金の額(法人の設立による株式の発行にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)を減算した金額、以下省略
法人税法施行令第8条第1項第1号、令和7年4月1日施行
・株式の発行
・自己の株式の売却
をした場合に
・払い込まれた金銭の額
・対価の額(例、給付を受けた金銭以外の資産の価額)
から
発行により増加した
・資本金の額
・出資金の額
を減算(マイナス)した金額が
資本金等の額の増加額(プラス)となります。
仕訳イメージ
現預金 10,000円 / 資本金 7,000円 ← 第1号から除外
/ 資本金等の額(資本準備金) 3,000円 ← 第1号
増加した
・資本金の額
・出資金の額
については、法人税法施行令第8条第1項で資本金等の額が増えるため、第1号の増加額から除外されています。
株式の発行だけではなく、自己の株式を売却した場合も第1号の対象となります。ただし、カッコ書きで「次に掲げる場合を除く。」とあり、イからヌまでの10個の取引については、第1号から除外されます。
役務提供の対価として自己の株式を交付した場合
第1号から除外される場合は、全部で10個あります。
今回は、4つ確認してみましょう。
1つ目
イ 役務の提供の対価として自己の株式を交付した場合(その役務の提供後に当該株式を交付した場合及び当該株式と引換えに給付された債権(その役務の提供の対価として生じた債権に限る。)がある場合(次号において「事後交付等の場合」という。)を除く。)仕訳イメージ
役務提供の費用 ××円 / 自己株式 ××円
ただし、事後交付等の場合は、除外されます。
(イの範囲から「事後交付等の場合」から除外されるため、第1号の次に掲げる場合を除く。から除外されなくなります。そのため、事後交付等の場合は、第1号の対象になると考えられます。反対に事後交付等の場合に該当しないものについては、第1号の2に該当します。)
新株予約権の行使により自己の株式を交付した場合
2つ目を確認してみましょう。
ロ 新株予約権(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十七項(定義)に規定する新投資口予約権を含む。以下同じ。)の行使によりその行使をした者に自己の株式を交付した場合仕訳イメージ
新株予約権 ××円 / 自己株式 ××円
取得事由により自己の株式を交付した場合
3つ目を確認してみましょう。
ハ 取得条項付新株予約権(法第六十一条の二第十四項第五号(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に規定する取得条項付新株予約権をいう。ハ及び第三号において同じ。)又は取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債の同項第五号に定める事由による取得の対価として自己の株式を交付した場合(同項に規定する場合に該当する場合に限る。)仕訳イメージ
取得条項付新株予約権など ××円 / 自己株式 ××円
「同項に規定する場合に該当する場合に限る。」とあります。
同項は、法人税法第61条の2(有価証券の売却損益)の第14項です。第14項は、有価証券の売却損益を認識しない規定で、この規定に該当する場合に限られています。
組織再編成等により自己の株式を交付した場合
4つ目を確認してみましょう。
ニ 合併、分割、適格現物出資、株式交換又は株式移転により被合併法人の株主等、分割法人(法第二条第十二号の九イに規定する分割対価資産(以下この項において「分割対価資産」という。)の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)、現物出資法人、株式交換完全子法人の株主又は株式移転完全子法人の株主に自己の株式を交付した場合1、合併
2、分割
3、適格現物出資
4、株式交換
5、株式移転
により
1、被合併法人の株主等
2、分割法人(一定の分割型分割は、分割法人の株主等)
3、現物出資法人
4、株式交換完全子法人の株主
5、株式移転完全子法人の株主
に自己の株式を交付した場合が要件です。
仕訳イメージ
/ 自己株式 ××円
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参考情報
第1号から除外されたもの(10個の取引)は、基本的に別の規定により資本金等の額が変動します。
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