複数の性質がある退職金


今回は、複数の性質がある退職金を確認します。

退職金は、次の3種類あります。
1、一般退職金(1/2制限なし)
2、短期退職金(1/2制限一部あり)
3、特定役員退職金(1/2制限あり)

前回までは、複数の会社から退職金を受け取ることが前提でした。今回の前提は、受け取った1つの退職金の内訳がわからない場合の取り扱いです。

趣旨

役員期間と従業員期間がある場合に、
従業員退職金としてまとめて受け取ると、
特定役員退職金の1/2制限から回避できてしまうからです。

役員退職金としてまとめて受け取ると、
特定役員退職金の1/2制限がかかりすぎるという見方もできます。

ということは、いずれでもなく
公平に区分しましょうという趣旨と思います。

内容

調整後勤続期間(所令69条1項1号のイ、ロ、ハ)のうちに、
1、5年以下の役員等勤続期間
2、この役員等勤続期間以外の期間
がある退職金については、次の区分をします。

1、退職金-2の金額=特定役員退職金
2、従業員期間を基礎として認められる一般退職金又は短期退職金

従業員給与は一般的な金額として計算して、
差し引きで特定役員退職金を計算します。

この計算された退職金は、
1、特定役員退職金と一般退職金
2、特定役員退職金と短期退職金
3、特定役員退職金、一般退職金、短期退職金?
とみなして、

一般退職金と特定役員退職金がある場合(3項)
短期退職金と特定役員退職金がある場合(5項)
一般退職金、短期退職金、特定役員退職金がある場合(7項)
の規定を使用します。

規定の読み方

1つの退職金が3つに区分されることがあるのでしょうか? 一般退職金、短期退職金、特定役員退職金がある場合(7項)の規定を適用するため、3つに区分することがあると考えましたが、思いつきません。

区分方法は次の2つです。
1、退職金-2の金額=特定役員退職金
2、従業員期間を基礎として認められる一般退職金又は短期退職金

この計算された退職金は、
1、特定役員退職金と一般退職金とみなします。
又は
2、特定役員退職金と短期退職金とみなします。

1つの退職金を2つに区分して、残り1つの退職金を別に受け取る場合に
3つの退職金がある場合(7項)で計算するという意味だと思います。

例えば、A退職金をB特定役員退職金とC一般退職金とみなして、
D短期退職金を別に受け取る場合です。

「五年以下の役員等勤続期間」と「当該役員等勤続期間以外の期間」とあり、後ろの「当該役員等期間以外の期間」については、5年以下か5年超かの限定はありません。従業員としての勤務期間という意味です。

1つの従業員退職金が5年以下と5年超の両方に
該当することはないと思います。レアケースであるのでしょうか。

参考規定

13 調整後勤続期間のうちに五年以下の役員等勤続期間と当該役員等勤続期間以外の期間がある退職手当等の支払を受ける場合には、当該退職手当等は、次に掲げる退職手当等から成るものとする。

 退職手当等の金額から次号に掲げる金額を控除した残額に相当する特定役員退職手当等

 役員等勤続期間以外の期間を基礎として、他の使用人に対する退職給与の支給の水準等を勘案して相当と認められる金額に相当する一般退職手当等又は短期退職手当等

14 前項の規定の適用がある場合には、同項の退職手当等の支払を受ける場合は、その年中に特定役員退職手当等及び一般退職手当等又は短期退職手当等がある場合とみなして第三項、第五項及び第七項の規定を適用する。

所得税法施行令71条の2

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