売上に関する消費税の積上げ計算


インボイス制度によって、法定化されている部分がありますので確認します。

内容

インボイス制度によって、売上に関する消費税の
積上げ計算の規定が設けられています。

どこにあるのかと探すと、
確定申告の規定に追加されています(消費税法45条5項)

規定の内容は、

確定申告書を提出する事業者が、
インボイスの写しなどを、法令に従って保存している場合に、
税率ごとに区分したときは、原則(総額割り戻し)に関係なく、
消費税の積み上げ計算ができる。

というものです。

総額割り戻しと積上げ計算

原則の総額割り戻しは、課税売上げを合計してから
消費税を計算します。

例えば、3つの税込売上があった場合
100+200+300=600(合計)÷1.1=545.45×7.8%=42.54となります。
(7.8%は消費税の国税部分です。)

積み上げ計算の場合
インボイスに記載された消費税合計に78/100をかけます。

例えば、3つのインボイスがあった場合
100(うち消費税9)→端数切捨て
200(うち消費税18)→端数切捨て
300(うち消費税27)→端数切捨て
9+18+27=54×78/100=42.12

積上げ計算については、インボイスに記載する消費税ごとに
端数処理を行いますので、消費税が少なく計算できます。

積み上げ計算できない場合

次の特例を使っている場合は、積み上げ計算が使えません。

  • リース譲渡を使っている場合
  • 工事進行基準を使っている場合
  • 現金基準を使っている場合
  • 役員に対して低額で譲渡した場合
  • 延払条件付譲渡(山林所得と譲渡所得)の特例がある場合
  • リース譲渡の特例を使っている場合

特殊な規定ばかりですので、
実務上はあまり気にしなくてもいいと思います。

参考規定

(課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告)
第四十五条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、課税期間ごとに、当該課税期間の末日の翌日から二月以内に、次に掲げる事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。ただし、国内における課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)及び特定課税仕入れがなく、かつ、第四号に掲げる消費税額がない課税期間については、この限りでない。

 その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。)に係る税率の異なるごとに区分した課税標準である金額の合計額及びその課税期間中に国内において行つた特定課税仕入れに係る課税標準である金額の合計額並びにそれらの合計額(次号において「課税標準額」という。)

 税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額
以下、省略

消費税法、施行日令和5年10月1日

売上消費税の積上げ計算

 第一項の規定による申告書を提出する事業者が、当該申告書に係る課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを第五十七条の四第六項の規定により保存している場合(同項の規定により同項の電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該課税資産の譲渡等に係る第一項第二号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額については、同号の規定にかかわらず、当該適格請求書に記載した同条第一項第五号に掲げる消費税額等その他の政令で定める金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とすることができる。ただし、第十六条第一項、第十七条第一項若しくは第二項本文又は第十八条第一項の規定その他政令で定める規定の適用を受ける課税資産の譲渡等については、この限りでない。

消費税法、施行日令和5年10月1日

(課税標準額に対する消費税額の算出方法の特例)
第六十二条 法第四十五条第五項に規定する政令で定める金額は、次の各号に掲げる課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。以下この項、第六十五条第一号及び第六十八条において同じ。)の区分に応じ当該各号に定める金額とし、法第四十五条第五項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする。
 適格請求書を交付した課税資産の譲渡等 当該適格請求書に記載した法第五十七条の四第一項第五号に掲げる消費税額等
 適格簡易請求書を交付した課税資産の譲渡等 当該適格簡易請求書に記載した法第五十七条の四第二項第五号に掲げる消費税額等
 適格請求書又は適格簡易請求書に記載すべき事項に係る法第五十七条の四第五項に規定する電磁的記録を提供した課税資産の譲渡等 当該電磁的記録に記録した同条第一項第五号又は第二項第五号に掲げる消費税額等

 法第四十五条第五項ただし書に規定する政令で定める規定は、法第二十八条第一項ただし書の規定並びに第三十六条第一項及び第三十六条の二第一項の規定とする。

消費税法施行令、施行日令和5年10月1日
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