相当の地代を引き下げた場合など


今回は、相当の地代を引き下げた場合などを確認してみましょう。

相当の地代を引き下げた場合

今回確認する通達は、こちらです。

相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm

9 借地権の設定に際し、相当の地代を支払った場合においても、その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められる場合を除き、その引き下げた時における借地権者の利益については2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))の定めに準じて取り扱う。
 また、2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))又は上記により利益を受けたものとして取り扱われたものについて、その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められる場合を除き、その引き下げた時における利益(2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))又は上記により受けた利益の額を控除したところによる。)については上記と同様に取り扱う。

相当の地代の内容は、基本通達1に規定されています。

1、借地権の設定について、権利金を支払う取引上の慣行のある地域
2、権利金の支払いが必要
3、権利金を支払わない代わりに、相当の地代を支払う。
4、借地権の設定による利益がない。

権利金は一時金のため継続しませんが、相当の地代は地代なので継続が前提です。そのため、契約当初は相当の地代を支払っていたが、後から相当の地代に満たない地代を支払うように変わった場合は、どうなるのでしょうか?

契約当初は、基本通達1(相当の地代を支払っている。)、利益なし
 ↓
後から基本通達2(相当の地代に満たない地代を支払っている。)、利益あり

1つ目の取扱いを見てみましょう。

その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められる場合を除き、その引き下げた時における借地権者の利益については2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))の定めに準じて取り扱う。

相当の地代を下げた場合は、基本通達2で判定する必要があります。
(例外は、引き下げについて相当の理由がある場合)

2つ目の取扱いを見てみましょう。

 また、2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))又は上記により利益を受けたものとして取り扱われたものについて、その後その地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められる場合を除き、その引き下げた時における利益(2((相当の地代に満たない地代を支払って土地の借受けがあった場合))又は上記により受けた利益の額を控除したところによる。)については上記と同様に取り扱う。

・最初から基本通達2(利益あり)
・基本通達1(利益なし)の後で基本通達2(利益あり)
の後に地代を引き下げたときも同じです。

ただし、1回目に計算した利益は差し引いて2回目の利益が計算されます。

地価税における借地権等の評価

通達を確認してみましょう。

11 3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))から8((「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価))まで及び10((相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額))の定めは、地価税の課税価格計算の基礎となる土地等の価額の評価について準用する。

・基本通達3から基本通達8まで
・基本通達10
の取扱いは、地価税を計算するときに使用する土地等の価額を評価するときに準用されます。
(地価税法は停止中)

地価税法の定義で
第1号、土地等=国内にある土地+借地権等
第2号、借地権等=借地権+イ+ロ+ハ
第3号、借地権
第4号、課税時期、その年1月1日午前0時
などと規定されています。
(時間まで規定されているのは、あまりないような。)

第16条に地価税の課税価格=土地等(土地と借地権等)の合計額と規定されているため、地価税を計算するときは、基本通達3から基本通達8までと基本通達10を考慮する必要があります。

おまけ

基本通達
1、相当の地代あり → 借地権の設定の利益なし
2、相当の地代なし → 借地権の設定の利益あり → 算式計算
3、相当の地代あり、借地権 → 0円、算式計算
4、相当の地代なし、借地権 → 算式計算
5、無償返還届出書、借地権 → 0円
6、相当の地代あり、貸宅地 → 自用地×80%、相当の地代調整貸宅地価額
7、相当の地代なし、貸宅地 → 地代調整貸宅地価額
8、無償返還届出書、貸宅地 → 自用地×80%

相当の地代あり(利益なし) → 1番、3番、6番
3番、借地権
 3-1、権利金なし 0円
 3-2、権利金あり 算式計算
6番、貸宅地
 6-1、権利金なし → 自用地×80%
 6-2、権利金あり → 相当の地代調整貸宅地価額(上限、自用地×80%)

相当の地代なし(利益あり) → 2番、4番、7番
4番、借地権 → 算式計算
7番、貸宅地 → 地代調整貸宅地価額(上限、自用地×80%)

無償返還届出書(0円で返す) → 5番、8番
5番、借地権 → 0円
8番、貸宅地 → 自用地×80%

株式評価上の取扱いを除外しています。

編集後記

地価税の基礎控除を調べてみると
・資本金の額が1億円を超える法人については、10億円
・個人とその他の法人については、15億円
と規定されています。

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