今回は、貸宅地の評価に関する基本通達を確認してみましょう。
借地権の目的となっている宅地
今回確認する基本通達は、こちらです。
国税庁、貸宅地の評価
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/05.htm#a-25
25 宅地の上に存する権利の目的となっている宅地の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。宅地の上に何らかの権利がある宅地の評価については、次の5つの区分に応じて評価されます。
1つ目を見てみましょう。
(1) 借地権の目的となっている宅地の価額は、11((評価の方式))から22-3((大規模工場用地の路線価及び倍率))まで、24((私道の用に供されている宅地の評価))、24-2((土地区画整理事業施行中の宅地の評価))及び24-6((セットバックを必要とする宅地の評価))から24-8((文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価))までの定めにより評価したその宅地の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額(同項のただし書の定めに該当するときは、同項に定める借地権割合を100分の20として計算した価額とする。25-3((土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価))において27-6((土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価))の定めにより借地権の価額を計算する場合において同じ。)を控除した金額によって評価する。
・11から22-3まで
・24
・24-2
・24-6から24-8まで
の定めにより評価したその宅地の価額を「自用地としての価額」といいます。
借地権の目的となっている宅地の価額は、自用地としての価額から27の定めにより評価したその借地権の価額を控除した金額によって評価されます。
算式に変えてみましょう。
1、自用地としての価額
2、借地権の価額
3、借地権の目的となっている宅地の価額
計算例
1、自用地としての価額
5,000
2、借地権の価額
自用地としての価額(5,000)×借地権割合(60%)=3,000
3、借地権の目的となっている宅地の価額
1-2=2,000
借地権の価額のカッコ書きを見てみましょう。
その借地権の価額(同項のただし書の定めに該当するときは、同項に定める借地権割合を100分の20として計算した価額とする。25-3((土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価))において27-6((土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価))の定めにより借地権の価額を計算する場合において同じ。)同項は、第27項(借地権の評価)です。ただし書きを見てみましょう。
ただし、借地権の設定に際しその設定の対価として通常権利金その他の一時金を支払うなど借地権の取引慣行があると認められる地域以外の地域にある借地権の価額は評価しない。「借地権の取引慣行があると認められる地域」以外の地域にある借地権の価額は、評価されません。
借地権の価額は評価されませんが、同項(第27項の借地権の評価)に定める借地権割合を0%ではなく20%として借地権の価額が計算できます。
計算例
1、自用地としての価額
1,000
2、借地権の価額
自用地としての価額(1,000)×借地権割合(20%)=200
3、借地権の目的となっている宅地の価額
1-2=800
例外
通達の続きに例外が規定されています。
ただし、借地権の目的となっている宅地の売買実例価額、精通者意見価格、地代の額等を基として評定した価額の宅地の自用地としての価額に対する割合(以下「貸宅地割合」という。)がおおむね同一と認められる地域ごとに国税局長が貸宅地割合を定めている地域においては、その宅地の自用地としての価額にその貸宅地割合を乗じて計算した金額によって評価する。貸宅地割合がある地域については、
・宅地の自用地としての価額×貸宅地割合
で評価します。
参考情報
(1)に規定されている基本通達のリスト
11 評価の方式12 削除(平3課評2-4外)
13 路線価方式
14 路線価
14-2 地区
14-3 特定路線価
15 奥行価格補正
16 側方路線影響加算
17 二方路線影響加算
18 三方又は四方路線影響加算19 削除(平3課評2-4外)
20 不整形地の評価
20-2 地積規模の大きな宅地の評価
20-3 無道路地の評価
20-4 間口が狭小な宅地等の評価
20-5 がけ地等を有する宅地の評価
20-6 土砂災害特別警戒区域内にある宅地の評価
20-7 容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価
21 倍率方式
21-2 倍率方式による評価
22 大規模工場用地の評価
22-2 大規模工場用地
22-3 大規模工場用地の路線価及び倍率23 余剰容積率の移転がある場合の宅地の評価23-2 余剰容積率を移転している宅地又は余剰容積率の移転を受けている宅地
24 私道の用に供されている宅地の評価
24-2 土地区画整理事業施行中の宅地の評価24-3 造成中の宅地の評価24-4 削除(平29課評2-46外)24-5 農業用施設用地の評価
24-6 セットバックを必要とする宅地の評価
24-7 都市計画道路予定地の区域内にある宅地の評価
24-8 文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価
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編集後記
貸宅地割合がある地域は、どこなのでしょう。
