今回は、消費税の課税売上割合について確認します。
課税売上割合の定義
課税売上割合の定義を確認します。
省略)
消費税法30条6項
第二項に規定する課税売上割合とは、当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)の対価の額の合計額のうちに当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合として政令で定めるところにより計算した割合をいう。
算式にすると、
課税資産の譲渡等の対価の額の合計額
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資産の譲渡等(リバースチャージ除く)の対価の額の合計額
となります。詳細は政令を確認する必要があります。
課税売上割合
上記の算式でまとめられていることがほとんどですが、
課税売上割合の計算規定はかなり複雑ですので、簡単に確認していきます。
政令48条1項1号が課税売上割合の分母、2号が課税売上割合の分子です。
法令では文章で規定されていますので、算式でまとめます。
1号(分母)の金額
資産の譲渡等(リバースチャージを除く)の対価の額の合計額
-資産の譲渡等(リバースチャージを除く)の対価の返還等の金額の合計額
売上のマイナス(値引き、返品、割引、割戻し)があった場合は、
マイナスした後の純額となります。
控除した「残額」とあるため、マイナスにはなりません。
2号(分子)の金額
課税資産の譲渡等(リバースチャージを除く)の対価の額の合計額
-(イの金額+ロの金額)
イの金額
売上返還等の金額(輸出免税売上の返還等を含む)
→ 税込金額
ロの金額
売上返還等の金額の消費税×100÷78
→ 国税部分を国税+地方税に戻しています。
結果、イーロで売上返還等の金額(税抜)を計算しています。
売上のマイナス(値引き、返品、割引、割戻し)があった場合は、
マイナスした後の純額となります。
控除した「残額」とあるため、マイナスにはなりません。
1号と2号をまとめます。
課税資産の譲渡等(リバースチャージ除く)の対価の額の合計額(純額)
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資産の譲渡等(リバースチャージ除く)の対価の額の合計額(純額)
実務上、会計ソフト(申告ソフトなど)で消費税コードを入力すれば、
課税売上割合は自動計算されます。
応用編
課税売上割合の規定は、通常使用しないものも規定されています。
課税売上割合の規定をまとめます。詳細は省略しています。
1項、課税売上割合の計算(上記で確認した内容です)
2項、資産の譲渡等であっても課税売上割合の計算上、計算に含めないもの
1、支払手段、暗号資産などの譲渡
2、売掛金等の譲渡(ファクタリング等)
3、売現先取引
3項、買現先取引(差益部分)
4項、金銭債権の譲受けなどの対価は利子とする。
5項、有価証券、金銭債権の譲渡は、5%相当とする。
6項、償還差損の取扱い
実務上、注意が必要なのは、5の有価証券、金銭債権の譲渡です。
関係会社の株式(有価証券)やリサイクル預託金(金銭債権)の譲渡については、譲渡対価の5%を課税売上割合の計算で使用します。
消費税コードを「非課税売上」で入力すると
譲渡対価が課税売上割合に反映されるため、注意しましょう。
参考規定
第四十八条 法第三十条第六項に規定する政令で定めるところにより計算した割合は、第一号に掲げる金額のうちに第二号に掲げる金額の占める割合とする。
一 当該事業者が、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。以下この条及び第五十三条第三項第一号において同じ。)の対価の額(法第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項において同じ。)の合計額から、当該課税期間中に国内において行つた資産の譲渡等に係る対価の返還等の金額(資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該資産の譲渡等の対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該資産の譲渡等の対価の額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をした金額をいう。)の合計額を控除した残額
二 当該事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第五十三条第三項第二号において同じ。)の対価の額の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額を控除した残額
消費税法施行令
イ 課税期間中に行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額(当該課税期間中に行つた第十九条に規定する輸出取引等に係る対価の返還等の金額を含む。)
ロ 課税期間中に行つた法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額