インボイス制度の改正_税制改正大綱_消費税


今回は、令和5年度の税制改正大綱の消費税について確認します。

大きく分けると改正は4つです。
4つともインボイス関係です。

  1. 小規模事業者の消費税の8割控除
  2. 2年前の売上が1億円以下の事業者の消費税控除要件の緩和
  3. 少額の売上返還インボイスの交付義務免除
  4. インボイス発行事業者登録制度の手続きの見直し

大綱を読みながら、自分用のメモとして書きます。
今回は、2番、3番、4番を確認します。

2年前の売上が1億円以下の事業者の消費税控除要件の緩和

対象者
2年前の消費税がかかる売上が1億円以下の事業者(注)

対象となる取引
令和5年10月1日以後6年間の消費税がかかる仕入

対象となる金額
「税込」金額が10,000円未満

上記に該当するものは、帳簿の保存で消費税控除が可能となります。請求書等の保存が不要になりますね。実務上は保存することになると思いますが。

注、特定期間(前年の前半6カ月)の消費税がかかる売上が5000万円以下の事業者も対象です。

クレジットカードの利用に関する措置のような気がしますが、
売上1億円の基準があるので中小企業者向けの特例ですね。

(2) 基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、当該課税仕入れに係る支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める経過措置を講ずる。

令和5年度税制改正大綱、P78
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf
少額の売上返還インボイスの交付義務免除

「売上代金から差し引かれる手数料」のことでしょうね。
書類の手間が省けます。

実務上の処理について
一般的には勘定科目は支払手数料や雑費などの経費で、
消費税の処理は課税仕入れです。
課税仕入れだと、原則として帳簿及び請求書が消費税控除の要件となるため、
帳簿及び請求書の要件も改正があるのかもしれませんね。

インボイス発行事業者登録制度の手続きの見直し

インボイス制度については原則として事前手続きとなりますが、この事前手続きの期限が「1月前の日」や「30日前の日の前日」で複雑でした。この期限が15日に短縮・統一されます。

見直しは次の4つです。

  1. 免税事業者がインボイス発行事業者の登録をする場合
  2. インボイス発行事業者が登録を止める場合
  3. インボイス発行事業者の登録で経過措置を使用する場合
  4. 困難な事情については記載を求めない。

大綱の内容

改正改正前大綱
インボイスの登録を受けようとする課税期間の初日の前日から起算して1月前の日インボイスの登録を受けようとする課税期間の初日から起算して15日前の日
インボイスの登録を取り消そうとする課税期間の「前」課税期間の末日から起算して30日前の日の前日インボイスの登録を取り消そうとする翌課税期間の初日から起算して15日前の日
令和5年10月1日「後」にインボイス発行事業者の登録を受ける場合は、申請書に提出日から15日を経過する日「以後」の日を「登録希望日」として記載する。
登録希望日「後」に登録されたときは、登録希望日に登録を受けたものとなります。
令和5年10月1日からインボイスを発行する予定の事業者については、困難な事情の記載がなくても求められません。
大綱の内容

3番の「登録希望日」ですが、登録希望日に登録されるようになっており、
単なる希望日ではなくなってます。

登録希望日を10月20日と記載した場合

          10/20、希望日   10/25、登録日    
-------------|-------|

10/20が登録日となります。
希望日の後に登録された場合、希望が叶いますが逆の場合

登録希望日を10月25日とした場合

          10/20、登録日   10/25、希望日    
-------------|-------|

10/20が登録日となります。
この辺は、うまいこと調整してくれるのでしょうか。

参考情報

令和5年度税制改正大綱、令和4年12月16日、P78
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf

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