今回は、法人住民税の「加算対象通算対象欠損調整額」を確認します。
内容
法人税の通算制度で損益通算や欠損金の通算があった場合に、
「法人税割の課税標準」を通算制度がなかった状態に近づける調整をします。
今回は「加算対象通算対象欠損調整額」を確認します。
具体例
法人税の計算
グループ内の所得と損失が同額で、それぞれ法人税額はありません。
内容 | P社 | S1社 | 合計 |
---|---|---|---|
損益通算前 の所得 | 1,000 | △1,000 | 0 |
損益通算 | △1,000 | 1,000円 | 0 |
損益通算後 の所得 | 0 | 0 | 0 |
法人住民税では、法人税の損益通算がなかった状態に調整します。
具体的には、通算対象欠損金額(P社の損金算入1,000)がある場合は、
加算対象通算対象欠損調整額(損金算入1,000×法人税率23.2%=232)を
加算調整します。
法人住民税の計算
内容 | P社 | S1社 | 合計 |
---|---|---|---|
法人税額 (調整前) | 0 | 0 | 0 |
加算対象通算対象欠損調整額 | +232 | 0 | 232 |
控除対象通算対象所得調整額 | 0 | 0 | |
課税標準となる法人税額 | 232 | 0 | 232 |
この調整は、第6号様式別表1(通算法人又は通算法人であった法人の課税標準となる法人税額に関する計算書)の2(加算対象通算対象欠損調整額及び加算対象被配賦欠損調整額の計算)で行います。
参考規定
加算対象通算対象欠損調整額の加算調整
11 法人税法第七十一条第一項(同法第七十二条第一項の規定が適用される場合に限る。)又は第七十四条第一項の規定により法人税に係る申告書を提出する義務がある法人について、当該事業年度において生じた通算対象欠損金額(同法第六十四条の五第一項に規定する通算対象欠損金額で同項の規定により損金の額に算入されたものをいう。次項において同じ。)がある場合の当該法人が納付すべき当該事業年度分の法人税割の課税標準となる法人税額の算定については、第一項、第三十四項又は第三十五項の規定にかかわらず、これらの規定により申告納付すべき当該法人税額の課税標準の算定期間に係る法人税割の課税標準となる法人税額に加算対象通算対象欠損調整額を加算するものとする。
12 前項に規定する加算対象通算対象欠損調整額とは、通算対象欠損金額に、同項の法人の当該事業年度終了の日における第四項各号に掲げる当該法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める率を乗じて得た金額をいう。
地方税法53条
使用する税率
4 前項に規定する控除対象通算適用前欠損調整額とは、通算適用前欠損金額に、同項の法人の最初通算事業年度(法人税法第六十四条の九第一項の規定による承認の効力が生じた日以後最初に終了する事業年度をいう。以下この項から第六項までにおいて同じ。)終了の日(二以上の最初通算事業年度終了の日がある場合には、当該通算適用前欠損金額の生じた事業年度後最初の最初通算事業年度終了の日)における次の各号に掲げる当該法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める率を乗じて得た金額をいう。
地方税法53条
一 普通法人(法人税法第二条第九号に規定する普通法人をいう。第十四項第一号及び第五十五項第四号において同じ。) 同法第六十六条第一項に規定する税率に相当する率
二 協同組合等(法人税法第二条第七号に規定する協同組合等をいう。第十四項第二号及び第五十五項第四号において同じ。) 同法第六十六条第三項に規定する税率に相当する率
→ 66条1項は23.2%
損益通算の通算対象欠損金額の定義
2 前項に規定する通算対象欠損金額とは、第一号に掲げる金額に第二号に掲げる金額が第三号に掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額をいう。
法人税法64条の5
一 前項に規定する他の通算法人の基準日に終了する事業年度において生ずる通算前欠損金額の合計額(当該合計額が第三号に掲げる金額を超える場合には、その超える部分の金額を控除した金額)
二 前項の通算法人の所得事業年度の通算前所得金額
三 前項の通算法人の所得事業年度及び同項に規定する他の通算法人の基準日に終了する事業年度の通算前所得金額の合計額