消費税が多くなる理由


「今年の消費税はいくらぐらいでしょうか?」
「〇〇円ぐらいですね。」
「え、そんなに一度に払えないよ……」

初めて消費税の確定申告をするときにありそうな話です。
消費税は、「発生した消費税」から「支払った消費税」を
マイナスした「残り」を納付する仕組みです。

発生した消費税(預った消費税)
- 支払った消費税 = 納付する消費税

 わかっているけど、金額に納得できない。支払う気持ちがあっても支払えない。そういうことってあります。今回は、消費税の納付額が多くなる理由を説明します。

消費税の納付額が多くなる理由

 消費税を納める人は、「個人事業者」と「法人」です。個人事業者は、毎年のもうけ(利益)について所得税の確定申告をします。法人は、毎期のもうけ(利益)について法人税の確定申告をします。両方とも、利益の一部を所得税・法人税として納める仕組みなので、嫌だなあと思いつつ何とか支払える金額になります。

 所得税・法人税に対して、消費税はもうけ(利益)に対してかかる税金ではありません。黒字で所得税・法人税は納めたのに、消費税は還ってくる、赤字で資金繰りが厳しいのに、多額の消費税の納付を迫られる、みたいな状況になることもあります。

 消費税は、発生した消費税(預った消費税)-支払った消費税で計算されます。消費税は10%(食料品などは8%)だから、利益のだいたい10%、8%でしょ?と思うかもしれませんが、利益から消費税の概算はできません。「預った消費税」は、売上の約9%で概算できますが、「支払った消費税」は、経費の約9%で概算できないからです。

 概算できない理由は、支払ったお金の中に「支払った消費税」が含まれているか含まれていないかは、法律(消費税法)で決まっているからです。そのため、消費税の申告をするときに、発生した経費・支出を「支払った消費税があるもの」と「支払った消費税がないもの」とに区別する必要があります。

参考
 支払った消費税があるものを「課税仕入れ」といいます。支払った消費税がないものを「課税対象外」「対象外仕入れ」「不課税仕入れ」「非課税仕入れ」などといいます。言葉はたくさんありますが、全て同じ意味です。

支払った消費税がない経費の代表例が、従業員に対する給料です。
例えば、売上1,100万円、仕入440万円、従業員給料330万円、その他330万円の場合

損益計算書、決算書
売上 1,100万円
経費 1,100万円(仕入440万円+給料330万円+その他330万円)
利益    0円

となり、利益が0円のため、法人税や所得税は発生しません。しかし、消費税は、法人税や所得税と別のルールで計算するため、30万円の消費税が発生します。

預った消費税 100万円(売上1,100万円÷1.1×10%)
支払った消費税 70万円(仕入440万円+その他330万円=770万円÷1.1×10%)
納付する消費税 30万円(預った消費税100万円-支払った消費税70万円)

給料330万円は、消費税の計算上、預かった消費税からマイナスできません。給料330万円の中に、「支払った消費税は含まれていない」と取り扱われるからです。

支払った消費税がない費用・支出の例

支払った消費税がないものは多数あります。例えば、

  • 役員に対する報酬、従業員・パート・アルバイトの給料
  • 社会保険、労働保険、生命保険、損害保険などの保険料
  • 土地の購入代金、土地の賃借料、住宅の賃借料
  • 税金(法人税、所得税、消費税など)、行政手数料(住民票など)
  • 減価償却費
  • 借入金の返済
まとめ

1、納める消費税=預かった消費税-支払った消費税で計算します。
2、「支払った消費税=課税仕入れ」はルールで決まっています。
3、給料など一部の費用・支出は、「支払った消費税」がありません。

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