NISAの株式を譲渡した場合


今回は、NISAの株式を譲渡した場合を確認してみましょう。

NISAの内容

株式の売却益については、原則として所得税・住民税がかかりますが、
特例の要件を満たした場合、非課税となります。

その1つがNISA
(Nippon Individual Savings AccountでNISA)

各制度については、
下記金融庁のページでわかりやすい比較表があります。

金融庁、NISAとは?
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html

以下、NISAの株式売却益に関する非課税規定
(措置法37条の14)をまとめています。

売却益は非課税

NISAの株式を売却したときの利益については、
所得税・住民税がかかりません(非課税)。

反対に、売却したときの損失については、
なかったもとのとして取扱われます。

非課税規定をまとめたものを確認してみましょう。


金融商品取引業者等の営業所に
非課税口座を開設している居住者等が、

非課税口座内上場株式等(注1)の
それぞれの次の各号に定める譲渡(注2、省略)をした場合には、

その譲渡による譲渡所得等(注3、省略)については、
所得税・住民税がかかりません。

注1、非課税口座内上場株式等
1号、一般NISA関係、非課税管理勘定(令和5年まで)
2号、積立NISA関係、累積投資勘定(令和5年まで)
3号、新NISA関係、特定累積投資勘定、つみたて投資枠(令和6年以後)
4号、新NISA関係、特定非課税管理勘定、成長投資枠(令和6年以後)


現行のNISA制度は令和5年(2023年)で終了し、
新NISA制度が令和6年(2024年)から開始します。

売却損は相殺不可

NISAの株式を売却したときの損失は、
ないものとして扱われますので、
他の株式の売却益と相殺できません。


参考、規定をまとめたものです。

・非課税上場株式等管理契約(一般NISA)
・非課税累積投資契約(積立NISA)
・特定非課税累積投資契約(新NISA)
に基づく非課税口座内上場株式等の譲渡による収入金額が

・その非課税口座内上場株式等の取得費と譲渡費用(譲渡所得)
・その譲渡に係る必要経費(事業所得、雑所得)
に満たない場合におけるその不足額(譲渡損失)は、

所得税などに関する法令上、ないものとして扱われます。

NISAは分けて計算

先に規定を簡単に確認してみましょう。


居住者等が、
・非課税上場株式等管理契約(一般NISA)
・非課税累積投資契(積立NISA)
・特定非課税累積投資契約(新NISA)
に基づき非課税口座内上場株式等(注4)の譲渡をしたときは、

政令で定めるところにより、
その非課税口座内上場株式等の譲渡による譲渡所得の金額等と
その非課税口座内上場株式等以外の上場株式等(注5、省略)の譲渡による
譲渡所得の金額等とを区分して、譲渡益と譲渡損を計算します。

注4、非課税口座内上場株式等
2以上の非課税口座を有する場合には、
それぞれの非課税口座に係る非課税口座内上場株式等


詳しい計算方法は、
政令(租税特別措置法施行令)を確認する必要があります。

政令の内容をまとめると
A、非課税口座内上場株式等(2以上ある場合は別々)
B、非課税口座内上場株式等以外の上場株式等
を有する場合には、A(課税なし)とB(課税あり)で分けて
譲渡益と譲渡損を計算します。

同じ銘柄の上場株式等については、
銘柄ごとに計算しないで、
A(課税なし)とB(課税あり)で分けて
譲渡益と譲渡損を計算します。

具体的には、同じ銘柄であっても、
Aの計算の利益については非課税、損失についてはないものと、
Bの計算の利益については課税、損失については相殺の対象となります。

参考規定

NISAの株式売却益の非課税

(非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税)
第三十七条の十四 金融商品取引業者等(第三十七条の十一の三第三項第一号に規定する金融商品取引業者等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の営業所(同号に規定する営業所をいう。以下この条及び次条において同じ。)に非課税口座を開設している居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、非課税上場株式等管理契約に基づき当該非課税口座に係る振替口座簿(社債、株式等の振替に関する法律に規定する振替口座簿をいう。以下この条及び次条において同じ。)に記載若しくは記録がされ、若しくは当該非課税口座に保管の委託がされている第一号に掲げる同号に規定する上場株式等、非課税累積投資契約に基づき当該非課税口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、若しくは当該非課税口座に保管の委託がされている第二号に掲げる第一号に規定する上場株式等又は特定非課税累積投資契約に基づき当該非課税口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、若しくは当該非課税口座に保管の委託がされている第三号に掲げる第一号に規定する上場株式等若しくは第四号に掲げる第一号に規定する上場株式等(次項から第四項までにおいて「非課税口座内上場株式等」と総称する。)のそれぞれ次の各号に定める譲渡(これに類するものとして政令で定めるものを含むものとし、金融商品取引法第二十八条第八項第三号イに掲げる取引の方法により行うものを除く。以下この条及び次条において同じ。)をした場合には、当該譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得(所得税法第四十一条の二の規定に該当する事業所得及び雑所得並びに第三十二条第二項の規定に該当する譲渡所得を除く。)については、所得税を課さない。
一 当該非課税口座に設けられた非課税管理勘定に係る上場株式等(次に掲げる株式等、受益権及び投資口をいう。以下この条(第三項を除く。)及び次条(第三項及び第五項第六号を除く。)において同じ。) 当該非課税管理勘定を設けた日から同日の属する年の一月一日以後5年を経過する日までの間に行う当該非課税上場株式等管理契約に基づく譲渡
イ 第三十七条の十第二項に規定する株式等(第四項及び次条において「株式等」という。)で第三十七条の十第二項第一号から第五号までに掲げるもの(同項第四号に掲げる受益権にあつては、公社債投資信託以外の証券投資信託の受益権及び証券投資信託以外の投資信託で公社債等運用投資信託に該当しないものの受益権に限る。)又は新株予約権付社債(資産の流動化に関する法律第百三十一条第一項に規定する転換特定社債及び同法第百三十九条第一項に規定する新優先出資引受権付特定社債を含む。)のうち、第三十七条の十一第二項第一号に掲げる株式等に該当するもの
ロ 公社債投資信託以外の証券投資信託でその設定に係る受益権の募集が第八条の四第一項第二号に規定する公募により行われたもの(第三条の二に規定する特定株式投資信託を除く。)の受益権
ハ 第八条の四第一項第三号に規定する特定投資法人の投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口
二 当該非課税口座に設けられた累積投資勘定に係る上場株式等で次に掲げるもの 当該累積投資勘定を設けた日から同日の属する年の一月一日以後20年を経過する日までの間に行う当該非課税累積投資契約に基づく譲渡
イ 公社債投資信託以外の証券投資信託の受益権のうち、第三十七条の十一第二項第一号に掲げる株式等に該当するもの
ロ 前号ロに掲げる上場株式等
三 当該非課税口座に設けられた特定累積投資勘定に係る上場株式等で前号イ又はロに掲げるもの 当該特定累積投資勘定を設けた日以後に行う当該特定非課税累積投資契約に基づく譲渡
四 当該非課税口座に設けられた特定非課税管理勘定に係る上場株式等で第一号イからハまでに掲げるもの 当該特定非課税管理勘定を設けた日以後に行う当該特定非課税累積投資契約に基づく譲渡

租税特別措置法37条の14第1項、施行日令和6年1月1日、令和五年法律第三号による改正

NISAの株式売却損はないものとされます。

2 非課税上場株式等管理契約、非課税累積投資契約又は特定非課税累積投資契約に基づく非課税口座内上場株式等の譲渡による収入金額が当該非課税口座内上場株式等の所得税法第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額又はその譲渡に係る必要経費に満たない場合におけるその不足額は、所得税に関する法令の規定の適用については、ないものとみなす。

租税特別措置法37条の14第2項、施行日令和6年1月1日、令和五年法律第三号による改正

非課税口座内上場株式等は、分けて計算します。

3 前二項の場合において、居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、非課税上場株式等管理契約、非課税累積投資契約又は特定非課税累積投資契約に基づき非課税口座内上場株式等(その者が二以上の非課税口座を有する場合には、それぞれの非課税口座に係る非課税口座内上場株式等。以下この項において同じ。)の譲渡をしたときは、政令で定めるところにより、当該非課税口座内上場株式等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額と当該非課税口座内上場株式等以外の上場株式等(第三十七条の十一第二項に規定する上場株式等をいう。)の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額とを区分して、これらの金額を計算するものとする。

租税特別措置法37条の14第3項、施行日令和6年1月1日、令和五年法律第三号による改正

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